【本文】
二百三十八段
さわがしきもの
さわがしきもの 走り火。板屋の上にて烏の斎(とき)の生飯(さば)食ふ。十八日に、清水にこもりあひたる。
暗うなりて、まだ火もともさぬほどに、ほかより人の来あひたる。まいて、遠き所の人の国などより、家の主(あるじ)の上りたる、いとさわがし。
近きほどに火出で来ぬといふ。されど、燃えはつかざりけり。
【読書ノート】
走り火=パチパチとはね飛ぶ火の粉。斎(とき)の生飯(さば)=仏家では飯の一部を鬼界の衆生にと屋根にまいた。十八日=縁日。燃えはつかざりけり=延焼はなかった。
二百三十八段
さわがしきもの
さわがしきもの 走り火。板屋の上にて烏の斎(とき)の生飯(さば)食ふ。十八日に、清水にこもりあひたる。
暗うなりて、まだ火もともさぬほどに、ほかより人の来あひたる。まいて、遠き所の人の国などより、家の主(あるじ)の上りたる、いとさわがし。
近きほどに火出で来ぬといふ。されど、燃えはつかざりけり。
【読書ノート】
走り火=パチパチとはね飛ぶ火の粉。斎(とき)の生飯(さば)=仏家では飯の一部を鬼界の衆生にと屋根にまいた。十八日=縁日。燃えはつかざりけり=延焼はなかった。