創作日記&作品集

作品集は左のブックマークから入って下さい。日記には小説、俳句、映画、舞台、読書、など…。そして、枕草子。

「わたしなりの枕草子」#282

2012-01-11 08:23:53 | 読書
【本文】
二百四十一段
さかしきもの
さかしきもの 今様の三歳児(みとせご)。ちごの祈りし、腹などとる女。ものの具ども請ひ出でて、祈り物作る、紙をあまたおし重ねて、いと鈍き刀して切るさまは、一重だに断つべくもあらぬに、さるものの具となりにければ、おのが口をさへ引きゆがめておし切り、目多かるものどもして、かけ竹うち割りなどして、いと神々しうしたてて、うち振るひ祈ることども、いとさかし。かつは、「なにの宮・その殿の若君、いみじうおはせしを、掻い拭(のご)ひたるやうにやめ(=治し)奉りたりしかば、禄を多く賜りしこと。その人かの人召したりけれど、験(しるし)なかりければ、今に嫗(おんな=私)をなむ召す。御徳をなむ見る」など語りをる顔もあやし。
 下衆の家の女主(あるじ)。痴れたる者、それしもさかしうて、まことにさかしき人を教へなどすかし。

【読書ノート】
さかしきもの=小賢しく、口達者なもの。腹などとる女=「あん‐ぷく【按腹】:腹をもみさする按摩術。血行・胃腸機能・吸収排泄を盛んにするという。」と祈祷を行い病気を治す巫女。第二十二段「すさまじきもの」の験者もそうですが、インチキなものが多かったのでしょう。清少納言も懐疑的です。今回やり玉にあがっているのは口先人間です。今の政治家もつけ加えましょう。いみじう=よい場合も悪い場合も用いる。ここは悪い場合。その人かの人=あの人この人と。験(しるし)=効き目。嫗=婆。御徳=ごひいき。それしも=それ(痴れたる者)がまた。さかしき人=賢い人。その通りと叫びたくなります。