創作日記&作品集

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「わたしなりの枕草子」#297

2012-01-26 07:37:40 | 読書
【本文】
二百五十六段
成信の中将こそ
成信の中将こそ、人の声はいみじうよう聞き知り給ひしか。同じ所の人の声などは、常に聞かぬ人はさらにえ聞き分かず。ことに男は人の声をも手をも、見分き聞き分かぬものを、いみじうみそかなるも、かしこう聞き分き給ひしこそ。

【読書ノート】
成信の中将=九段の権中将。源成信。人=女房達。さらに=全く。みそかなる=ひそひそ話。かしこう=見事に。
二百七十四段に詳しく述べられています。

源成信
生年: 天元2 (979)
没年: 没年不詳
平安中期の官人。従四位上。賜姓源氏。致平親王と左大臣源雅信の娘の子。村上天皇の孫。母の姉妹が藤原道長の妻という関係からおじ道長の猶子となった。『権記』の長保3(1001)年2月4日条によると,権右中将兼備中守であった成信は朝儀を立ち聞きして自分の未熟さを知り,悲観のあまり右大臣藤原顕光の子重家と共に園城寺(三井寺)で出家した。中宮定子をたびたび訪れた様子が『枕草子』に描かれている。清少納言は成信を容貌,気性ともに優美と讃えている。人の声を聞き覚えるのが得意で,同じ部屋の女房の声なども簡単に聞き分けたという。
→朝日日本歴史人物事典の解説