創作日記&作品集

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「わたしなりの枕草子」#290

2012-01-19 08:35:37 | 読書
【本文】
二百四十九段
世の中になほいと心うきものは
世の中になほいと心憂きものは、人ににくまれむことこそあるべけれ。たれてふ物狂ひか、われ人にさ思はれむとは思はむ。されど、自然に宮仕へ所にも、親・同胞(はらから)の中にても、思はるる思はれぬがあるぞいとわびしきや。
よき人の御ことはさらなり。下衆などのほども、親などのかなしうする子は、目たて耳たてられて、いたはしうこそおぼゆれ。見るかひあるはことわり、いかが思はざらむとおぼゆ。ことなることなきはまた、これをかなしと思ふらむは、親なればぞかしとあはれなり。
親にも、君にも、すべてうち語らふ人にも、人に思はれむばかりめでたきことはあらじ。

【読書ノート】
さらなり=もちろん。目たて耳たてられて=目を引き注意を集め。いたはし=大切にしたい。「苦労だ」、「可哀相だ」、の他に「大事なものとして重んじたいの」意味があります。平安時代は言葉が少なかったのかなあ。