【本文】
二百九十二段
左右の衛門尉(ゑもんのぞう)を
左右の衛門尉(ゑもんのぞう)を判官(はうぐわん)といふ名つけて、いみじうおそろしう、かしこき者に思ひたるこそ。 夜行し、細殿などに入り臥したる、いと見苦しかし。布の白(しろ)袴(ばかま)、几帳(きちやう)にうちかけ、袍(うへのきぬ)の長くところせきを、わがねかけたる、いとつきなし。太刀の尻に引きかけなどして、立ちさまよふは、されどよし。
青色を、ただ常に着たらば、いかにをかしからむ。
「見し有明ぞ」
と誰言ひけむ。
【読書ノート】
百八十九段にも同様の記載があります。
衛門尉(ゑもんのぞう)=衛門府の第三等官。判官(はうぐわん)=検(け)非(び)違(い)使(し)の大小尉を兼官している者で六位蔵人を兼務した者を言う。ところせきを=邪魔なのを。わがね=折り曲げて。つきなし=ふさわしくない。尻=裾。
「見し有明ぞ」=不詳。
二百九十二段
左右の衛門尉(ゑもんのぞう)を
左右の衛門尉(ゑもんのぞう)を判官(はうぐわん)といふ名つけて、いみじうおそろしう、かしこき者に思ひたるこそ。 夜行し、細殿などに入り臥したる、いと見苦しかし。布の白(しろ)袴(ばかま)、几帳(きちやう)にうちかけ、袍(うへのきぬ)の長くところせきを、わがねかけたる、いとつきなし。太刀の尻に引きかけなどして、立ちさまよふは、されどよし。
青色を、ただ常に着たらば、いかにをかしからむ。
「見し有明ぞ」
と誰言ひけむ。
【読書ノート】
百八十九段にも同様の記載があります。
衛門尉(ゑもんのぞう)=衛門府の第三等官。判官(はうぐわん)=検(け)非(び)違(い)使(し)の大小尉を兼官している者で六位蔵人を兼務した者を言う。ところせきを=邪魔なのを。わがね=折り曲げて。つきなし=ふさわしくない。尻=裾。
「見し有明ぞ」=不詳。