【本文】
二百七十九段
節分違へなどして夜(よ)深(ぶか)く帰る
節分(せちぶん)違(たが)へなどして夜深く帰る、寒きこといとわりなく、頤(おとがひ)などもみな落ちぬべきを、からうじて来着きて、火桶引き寄せたるに、火の大きにて、つゆ黒みたる所もなく、めでたきを、こまかなる灰の中より、起こし出でたるこそ、いみじうをかしけれ。
また、ものなど言ひて、火の消ゆらむも知らずゐたるに、こと人の来て、炭入れて熾(お)こすこそ、いと憎けれ。されど、めぐりに置きて、中に火をあらせたるは、よし。みなほかざまに火をかきやりて、炭を重ね置きたるいただきに、火を置きたる、いとむつかし。
【読書ノート】
夜(よ)深(ぶか)く=夜がまだ明けないうちに。夜明けを念頭において。
めぐりに置き=(炭を)周りに置いて。
注文が細かい!
二百七十九段
節分違へなどして夜(よ)深(ぶか)く帰る
節分(せちぶん)違(たが)へなどして夜深く帰る、寒きこといとわりなく、頤(おとがひ)などもみな落ちぬべきを、からうじて来着きて、火桶引き寄せたるに、火の大きにて、つゆ黒みたる所もなく、めでたきを、こまかなる灰の中より、起こし出でたるこそ、いみじうをかしけれ。
また、ものなど言ひて、火の消ゆらむも知らずゐたるに、こと人の来て、炭入れて熾(お)こすこそ、いと憎けれ。されど、めぐりに置きて、中に火をあらせたるは、よし。みなほかざまに火をかきやりて、炭を重ね置きたるいただきに、火を置きたる、いとむつかし。
【読書ノート】
夜(よ)深(ぶか)く=夜がまだ明けないうちに。夜明けを念頭において。
めぐりに置き=(炭を)周りに置いて。
注文が細かい!