創作日記&作品集

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「わたしなりの枕草子」#354

2012-03-23 08:47:53 | 読書
【本文】
二百九十六段
 ある女房の、遠江(とほたあふみ)の子なる人を
 ある女房の、遠江(とほたあふみ)の子なる人を語らひてあるが、
「『同じ宮人をなむ忍びて語らふ』と聞きて、恨みければ、『親などもかけて誓はせ給へ。いみじき虚言(そらごと)なり。ゆめにだに見ず』となむいふは、いかがいふべき」
と言ひしに、
  誓へ君遠江(とほたあふみ)のかみかけて
   むげに浜名の橋見ざりきや

【読書ノート】
 語らひて=深い仲。
 同じ宮人=(相手の男が)が(その女房と)同じ宮に仕えている女と。親などもかけて=親の名誉にかけても。いかがいふべき=どう言ってやったらいいでしょう。
 かみ=「守」=「神」の名誉にかけても。むげ=まったく。浜名の橋見ざりきや=その女に逢わなかった。浜名の橋=「逢瀬を渡る」等の意がある。→萩谷朴校注。