創作日記&作品集

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「わたしなりの枕草子」#341

2012-03-10 08:27:02 | 読書
【本文】
二百八十四段
 宮仕へする人々の出で集まりて
 宮仕へする人々の出で集まりて、おのが君々の御ことめできこえ、宮の内・殿ばらの事ども、かたみに語りあはせたるを、その家主(いへあるじ)にて聞くこそをかしけれ。
 家広く、清げにて、わが親族(しぞく)はさらなり、うち語らひなどする人も、宮仕へ人を、方々(かたがた)に据ゑてこそあらせまほしけれ。さべき折はひとところに集まりゐて、物語し、人のよみたりし歌、何くれと語りあはせて、人の文など持て来るも、もろともに見、返りごと書き、また睦まじう来る人もあるは、清げにうちしつらひて、雨など降りてえ帰らぬも、をかしうもてなし、参らむ折は、そのこと見入れ、思はむさまにして、出だし立てなどせばや。
 よき人のおはしますありさまなどの、いとゆかしきこそ、けしからぬ心にや。

【読書ノート】
 私的なサロンの夢を語っています。実家ではこうありたいと。
 出で集まりて=退出して集まって。
 家主(いへあるじ)にて=家の主の立場で。
 方々(かたがた)=部屋部屋に。さべき折=しかるべき折には。睦まじう来る人=(女房と)親しくしていて、訪ねてくる男性には。しつらひ=(室内を)飾って。参らむ折は=主君のもとに参上する時は。見入れ=身を入れて世話をする。思はむさま=思い通りの(満足のいく)ありさまにして。出だし立て=(家から)出して。ゆかし=知りたい。
 最後の一行は宮使いを退いて後の感想と思われます。