inspiration-macrobiotique・随想古事記

マクロビオティックインスピレーション・随想古事記・日本語と歴史・バベルの塔・日々雑感

日本の昔話4・竹取物語

2021-10-05 01:24:48 | 日本語・古事記・歴史・日本人

一寸法師や桃太郎のようなかぐや姫の歌は聞いたことがありませんが、これもよく知られたお話で『物語の始まり』だとも言われています。お爺さんとお婆さんがいて子供を授かるというパターンですが、山へ柴刈りに川へ洗濯にというのではなくて、竹取を生業にしている老夫婦という設定です。ある日お爺さんは竹を取りに山に入ると、根本の光った竹を見つけます。訝しく思いながら竹を切ってみると、そこには可愛い女の赤ん坊が産着にくるまれて入っていました。老夫婦は大喜びに喜んで育てることにしました。不思議なことにそれから毎日お爺さんは小判が入っている光った竹を見つけました。老夫婦は豊かになって、その女の子はすくすくと育って、数年ですっかり成長して、周囲を明るく照らすほど輝くばかりに美しく『かぐや姫』と評判になりました。やがてはそのうわさが都まで届き、貴族の若者たちがやってくるようになりました。とうとう五人の貴公子から求婚されることになりました。

かぐや姫は五人の貴公子に無理難題を出します。この世にありえないものを持ってくることが出来たらその求婚を受けましょう・・・・・五人の貴公子、石作皇子(いしづくりのみこ)・庫持皇子(くらもちのみこ)・阿部御主人(あべのみうし)・大伴御行(おおとものみゆき)・石上麻呂(いそのかみのまろ)にそれぞれ『仏の石の鉢(ほとけのみいしのはち)』・『蓬莱の珠の枝(ほうらいのたまのえだ)』・『火ネズミの皮衣(ひねずみのかわごろも)』・『龍の首の珠(竜の首の珠)』・『燕の子安貝(つばめのこやすがい)』・・・・・誰も見たこともない何処にあるかもわからない宝物です。最初は『いざ!』と思った貴公子たちも、思案投げ首それぞれの取り巻きに囲まれて偽物作りに励んだり、偽物をつかまされたり、死ぬ目にあってあきらめたり、死んでしまったり・・・・・それぞれモデルがいるとされるこの五人の求婚はあえなく失敗してしまいます。

そうこうしているうちに、かぐや姫が物思いにふけってため息をつくようになりました。お爺さんとお婆さんは心配でたまりませんが、かぐや姫は何でもないと言うばかり・・・・・とうとう、かぐや姫は自分の身の上を打ち明けました。自分は月の国の住人で、次の十五夜に迎えが着て帰らなければならないが、お別れがつらい・・・・・そう言ってさめざめと泣きました。お爺さんとお婆さんはびっくりして、時の帝にお願いをして守っていただくことにしました。皇居の衛士達が幾重にも取り囲んでかぐや姫を守ります。そうしていると、月が大きくせまって昼間のように明るくなり、衛士達は弓矢をつがえようとしても力がなくなって皆崩れてしまいました。やがて月からの迎えの牛車がお供を引き連れて下りてきます。誰も動くことも口を利くこともできません。かぐや姫は自分の着ていた衣を自分だと思って健やかに暮らしてくださいと、お爺さんお婆さんに暇乞いをして天人の衣に着替え(その途端地上での暮らしを忘れて)牛車に乗り月の国に戻っていきました。

 

これは世界的に見てかなり変わっていると言うべきか進んでいるというべきか・・・・・このお話は実在のモデルと言われる人から見て、聖武天皇の御代くらいのお話なんです。その時代に地球以外の天体と行き来があったかどうかは別としても、日本人の頭の中にはそういう考えをする能力があったことになります。8世紀ですよ!!!!!すごいと思いませんか。このお話は子供心にも非常に不可思議なお話でした。何となく納得のいかない『もやもや』を残していきました。これと似たようなお話があります。『天の羽衣の物語』・・・・・これは、浜辺で遊んでいる天女たちを若い漁師が見つけました。松の枝には空中を飛ぶ『羽衣』がかけてあります。漁師はその羽衣を一本隠しました。さて天女たちが帰っていきますが、一人帰ることが出来ません。若い漁師はその美しい天女と結婚して、かわいい子供もできました。ある日天女の膝枕で寝た若い漁師はすっかり気を許して、羽衣の在処を話してしまいます。懇願する漁師とかわいい子供を残して、天女は帰っていきます。どうしても住む世界が違うのだと・・・・・つまり天女もかぐや姫と同じで、地上には住めないらしいのです。じゃあどうして下りてくるのでしょう。かぐや姫は罰として降ろされたらしく、天女たちは遊びに来たのらしい・・・・・不明です。

まあそこは追求することが出来ないので私独自の余談になるのですが、これは『ツクヨミノミコト』と関係しているのではと思います。伊弉諾尊の左目から生まれたアマテラスと右目から生まれたツクヨミ、鼻から生まれたスサノオよりよほど近いと考えられるのに、古事記はほとんどツクヨミの消息を教えてはくれません。ツクヨミとは誰の事なのでしょう。

 

私の結論は、『天帝』です。織姫様の父君。王権を伏羲に譲られたアジア最初の王朝の帝王で、世界最初の王朝。その建国までの経緯は不明です。ですが、約3万年まで遡ると言われています。伏羲は『蛇身人首』・・・・・つまり母が蛇族の天帝族だと言っています。アジアの正統な王朝の血統です。これを川崎真治先生は風姓『鳥族』と言っておられて、シンボルは鳳凰です。蛇族のシンボルは龍、それで天朝では父系の鳥族の王に蛇族の王后が大体の決まりになっていたのではないかと思います。随想古事記の記事に書いたように、鳥族は蛇族から分かれて内陸に建国したと言われています。カテゴリー『父の背負子・随想古事記』の記事を読んでいただけたらと思います。

『かぐや姫』の筋立ては、天帝の娘が織姫様と同じように、牛飼いに恋をして帝の逆鱗に触れ、地上に追われた・・・・・。『天の羽衣』は地上の記憶を消してしまう衣。だから『天翔ける』という言葉が、『死』を意味しているのではないかと思います。それはさておいて、ツクヨミが天帝なら、アマテラスは誰なのか。アマテラスはツクヨミの娘で、織姫様。では牛飼いは誰かというと、牛頭天王のスサノオ。このお三方がアジアの歴史の中核で、時を変え所を変え、名を変え立場を変えて繰り返し現れてこられるのです。大陸でも清王朝まで鳳凰と龍、朝鮮半島でも李氏朝鮮まで鳳凰と龍。そしてわが日本でも鳳凰と龍が王権を表しています。ただし清王朝も李氏朝鮮も鳥族ではありません。彼らは『犬族』オオカミを王権の象徴とするべき部族です。ただアジアの王朝の権威を受け継いで正統性を維持しているのだと思います。というわけで、我らが日本だけが世界で天帝王朝を維持しています。

ツクヨミは月がシンボル、天帝王朝は大陸で殷が滅亡して以来東西に散って東は我が日本に、西はチュルク系・・・・突厥、トルコ、トルクメニスタン・・・・・西に散った国々は今も国旗に月を持っています。チュルクはツキで、ターク・タルク・トルクもツキ・・・・・竹もツキ、柘植もツキ、日下はクサカ・サカ(チャカ・ツカ・タカ)もツキ・・・・・ツクヨミこそが鳥族の王・アジアの天帝です。伊弉諾尊が最後に産まれた三貴子、日本の歴史は三貴子のうちのアマテラスとスサノオのお話でなっていますが、私が抱いた様々な矛盾を解き明かしていくとこういう結論に到達せざるを得ないのではないかと思っています。随想古事記ではツクヨミについての疑問はそのまま残しています。我が日本はこの鳥族ともっと早く日本にたどり着いていた蛇族のワタツ人(これが縄文人だと思います・・・・・縄文は縄目ではなく蛇を形どっていて、大蛇である龍と雷がシンボル)が作り上げた風神と雷神の国です。その大和王朝を今も生きている世界唯一の国です。

 

ヤマタノオロチは土着の蛇族の偉大なる王のお話ですし、その名残が九頭竜の謂れとなり戸隠に祀られることになりました。安珍清姫は蛇になり、『鶴の恩返し』は鳥族の女が機織りをするというお話です。日本の昔話には歴史の記憶が働いているというわけです。お月見の好きな日本人、昔話をしみじみと感じてみるのも自分のアイデンティティをたどる良い手がかりだと思います。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする