数日前酷い黄砂で春霞が黄色っぽくなり空気が土臭くなって気が滅入っていましたが、遠来のお客が来る前にと瀬戸市場に行きました。もうすでにかなりのお客でにぎわっていましたが、お目当てのヒラメを買ってうろちょろしていると、手頃な大きさのアワビが・・・・・安くはないけれどお正月よりは・・・・・とうとう夫の好物の『アワビの塩辛』を作ることになってしまいました。
アワビの塩辛は昔記事にもしましたが、舅の幼馴染の方から教えてもらったもので、塩辛と名の付く食べ物の中で一番おいしいと思います。『魯山人もびっくり』だろうと思います。
先ず、アワビを塩(このときは、塩天華というレギュラー塩)をまぶしつけてたわしでこすります。すると、表面の茶色や緑色の汚れ(?)が取れます。真水で洗い流して、水分をふき取ります。それから木べらかしゃもじで身を起こし(殻からはがし)ます。身とワタに分け、ワタに多めの塩(これからはすべてイキな塩)をまぶしつけ身の下拵えができるまで置きます。
次に、身を縦に(大きさにもよりますが)六つ割くらいに切り、うすく刻みます。これが一番忍耐がいる仕事で、ひたすら小さな短冊のような刻み身を作ります。
次に塩辛の一番重要なワタの処理です。塩をまぶしておいたワタをきれいに洗い流して、水気をしっから拭き取ります。それから、曲がっている外側に出た部分を切って茶色っぽい液を出し、消化しきれていないざらざらした部分を包丁で搔き出します。そして大切なワタをみじん切りにしてたたきます。これを小ぶりのボールに入れて塩と混ぜ合わせ、ここに刻んだ身を加え混ぜます。(この段階は、手がワタで汚れていて写真が取れませんでした。) これを保存瓶に入れて、冷蔵庫で最低一日は置きたいのです・・・・・がどうなることやら。 寝かせた後、もう一度塩を足すこともあります。
この塩辛のワタは本当においしくて、保存瓶に移した後ボールの壁についたのさえ惜しくて、残りご飯を入れて混ぜて食べるほどです。今回もそうしてしまいました。最初教えられたときはこのワタに味の素をこれでもかというくらい入れました。だけど私にはイキな塩があり(このお塩は本当に美味しいので、何も入れる必要がありません)、それから幼い日の恐ろしい思い出が・・・・・味の素が出回り始めたころ、そうですね私が小学二年生か三年生のころ、私は期待に胸を膨らませてこっそり味の素を舐めたことがあります。その時の衝撃は語りつくせません。一週間は確実に味覚がありませんでした。(私はそれ以来味の素を自分で利用することはありません。幸い味の素は卓上で利用できますから。)
余談ですが、私は日常のお料理にいわゆる鯵出刃(アジ出刃)という和包丁を使っています。これが一番便利で最近娘が欲しいといった序に、自分用にも新調することにしました。最近鍛冶屋さんが少なくなっていますが、我が県内にはないのかと思って探し出したのが『島原鍛冶』・・・・・アジ出刃とイカ裂きと呼ばれる包丁を買いました。これが今回本当に活躍して楽にできました。
これは、高くもないし切れ味の良いお勧めの包丁です。柑橘類などや果物を切るときにはステンレスの包丁を使っていますが、日常のお料理にはほとんどこれを使っています。またアジ出刃には厚みによって数種類あり、私は中厚と薄厚を持っています。骨を切るような厚いものは通常の大きさの出刃のほうが使いやすいと思うからです。