夫には遠くから来てくださっている患者さんがあると、その距離を確かめてみる習性(?)があります。平戸の奥の方にも、五島の福江島でも、道幅が狭くなって車が通れないような所など、冷や冷やしながらあちこち回ったものです。そういったわけで昨日も出かけたのですが、目的地を訪ねた後のちょっと足を延ばしただけの気軽な探訪が木曽の山中に紛れ込むことになってしまいました。何しろ鬱蒼とした山道・・・・・かなりの標高差を木曽川沿いまで、くねくねくねくね(何しろ並のくねくねではありません)と下りていきました。
これは県道だろうか?????・・・・・それとも町道だろうか?????・・・・・舗装は一応してあるけれど・・・・・・誰も最近通った形跡がない・・・・・のだろうか?????・・・・・離合は出来ないね・・・・・・水は出てないけれど落石もある・・・・・し、行き止まりだったらどうしよう?????・・・・・でも国道って書いてある!!!!!え・え・え・え・え、国道418号線だって!!!!!
まさかまたこの道を戻るのか?????・・・・・Uターン出来るのか?????・・・・・夫の不安を感じながら、行き着いた先は古びた赤茶けた橋・・・・・大丈夫?????疑心暗鬼を抱えながら、橋を渡りました。そして二つ目の古い橋・・・・・『旅足橋(なんと読むのか)』・・・・・そういえばさっき新しいバイパス道路の『新旅足橋』を渡ったっけ・・・・・あれが出来るまでみんなこの道を通っていた?????国道418号線・・・・・下りついた先の木曽川沿いの古い古い国道・・・・・どうやらアユ釣りにやってくる人もあるらしく、注意書きの立て看板に氾濫することもあると書いてありました。
二人とも緊張でかなりくたくた・・・・・あの下りで転落したら・・・・・私達数年後不審死体になる・・・・・急な大水や落石にでもあって木曽川に転落したら・・・・・何処まで流されてしまうのか・・・・・・運転席の山側にも余裕が無いからには、崖になっている路肩が恐ろしいとも言えない・・・・・・橋の安全性も・・・・・・それにトンネルも崩れるかもしれない(向うが見えててよかった!!!)?????・・・・・二人とも言葉を控えながら何とか無事に通り抜け終えて、木曽の山中で迷子になるというのは、こういうことね・・・・・と緊張を残したまま一目散に帰ることにしましたが、よく見るテレビ番組『水戸黄門』の八兵衛の泣き言をいう心細さを我が身に置き換えました。
九州の山々は阿蘇や霧島でも標高2000メートルはありません。福岡の英彦山も佐賀の脊振山も1000メートルそこそこ・・・・・私達の見慣れた長崎県の山は西海岸ということもあって500メートルくらい・・・・・そんな私達が日本アルプスというか、木曽山脈というか・・・・・それに連なる山麓地帯を垣間見ました。知っているつもりでなお九州人の知らない山深さがありました。この厳しさはちょっと違った人間形成をしたと思います。北九州人が荒れ狂う玄海灘と東シナ海に育てられ、南九州人は台風の猛威に育てられたとしたら・・・・・性格も違うはずですね。しみじみいろいろと考えさせられました。
帰宅して緊張と疲れを取ろうと横になったのですが、目が覚めてみるとあちこち強張っていました。よほど緊張して力んでいたんだなあ~~~と、振り返って山道の記憶をもう一度たどりました。夫は遠くから来て下さる患者さんに感謝しています。