プリミティヴクール

シーカヤック海洋冒険家で、アイランドストリーム代表である、平田 毅(ひらた つよし)のブログ。海、自然、旅の話満載。

護摩壇山~龍神岳・霧氷スノーシュー

2012-01-31 20:14:31 | インポート
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 先日の高見山では、山や霧氷は良かったけれど人心の荒廃を見せつけられてしまい後味が悪かったので、昨日口直しに和歌山・護摩壇山へ霧氷スノーシュートレッキングに行ってきました。

 高野龍神スカイライン沿いにあるここは駐車場から即、スノーシューを履いて徘徊できるという、なかなか他にはない立地条件にあります。
 スノーシューでは人の足跡のない樹林帯の中を入っていったり、雪の中に寝転んだり、樹木を抱きしめたり、無音の中のかすかな生き物の気配に耳を澄ませたり、動物の足跡を見つけたりと、自然の息吹を生で感じ取ることにその魅力があります。
 山というとどうしても山頂を目指してザックザクと歩いていくスタイルになりがちですが、スノーシューはその呪縛から自由なところにも、よさがあります。
 登頂を目指すのももちろん素晴らしいですが、それも気にせず、寄り道、立ち止まり、のんびり、沈思黙考、「こんな所へ入っていってもおもろいかもな」っていう探索などなど、自分のリズムで楽しむことができるっていうのは、カヤッキングにも通ずるものを感じます。
 まあ、シーカヤックほどのスーパー・バックカントリーな遊びには遠く及びませんが、とても気に入っている遊びのひとつです。 

 山頂からは、紀伊水道の海が望めます。
 北には友が島、そしてそこから目線を南にもっていくと、
 なんと湯浅湾のかるも島までが確認できます。
 この真下の写真がそうなんですが、クリックして拡大してよく見てください。
 右が「ヨコカルモ」、左が「タテカルモ」です。
 さらに左の端のほうに鷹島のてっぺんも見えます。

 湯浅湾は同じ湾内でも、北海岸と南海岸とでは微妙にフィーリングが違います。
 南に行けばいくほどかすかに黒潮の息吹が濃くなってきます。
 夏期ほぼ毎日この海をシーカヤッキングしているからこそわかる微細な差違ですが、
 ちょうどこの「かるも島」を起点にして、北と南とで微妙に雰囲気が変わります。
 自分の家の庭のように慣れ親しんだフィールドも、
 こういう山からの視線で、それも雪の中から眺めることができるなんて
 まったく面白いもんだな、和歌山ってバラエティ豊かだな、と感慨深いものがありました。
 
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高見山・霧氷トレッキング

2012-01-31 14:31:18 | インポート
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 先日、奈良県と三重県の県境にある高見山に登り、霧氷を見に行きました。
 
 霧氷は写真をご覧の通り美しかったけれど、
 けっこう、「なんだかな~」という思いにさせられる
 一日でもありました。

 ここはこの時期、近鉄榛原駅から「霧氷号」という
 直通バスが出ているくらい人気がある山で、
 この日だけでも多分300人以上は登っていたのではないでしょうか?

 で、かなり混雑していたのですが、
 別にそのことに対して「なんだかな~」と思うわけではありません。
 人が多いのは分かり切って登っています。
 それよりも人がたくさん来るのが百も承知のはずなのに、
 それに対してやたら憤慨しながら歩くおっさんについて言っているわけです。

 山の中腹辺りの登山道で、歩くのが非常に遅いおばちゃんがいました。
 そして、その後ろにだーっと10人くらいの列ができていました。
 ぼくもその後尾付近にいたのですが、問題は最後尾にいるおっさんです。
 ブタ革の奇妙な革ジャンを着て登っている彼はイライライライラしながら、
 やたら「チッチ」と舌打ちを繰り返していました。
 彼の悪意が背後からビンビン伝わってきました。
 「しゃあないやん、こんだけ人多かったら遅い人もおるやろう。
 いたわったれや」と思いつつちょっと広い場所に出てきたので、
 おっさんを先に行かせようと止まって横にそれると、ぼくのすぐ後ろを歩くぼくの同行者に、
 「急に止まって危ないがなオラ」と、毒気たっぷりの言葉を浴びせかけました。
 その言い方の、異様に感じの悪いこと。

 「おいちょっと待てやおっさん、なんちゅうモノの言い方するんじゃ」と、
 ぼくは反射的に言い返しました。ついでにノシイカにしてやろうかと
思っちゃいましたが、我に返りました。
 美しい自然の中でのいざこざほど美しくないものはないわけです。
 そんなエレガントじゃないことをするくらいならば死んだ方がましです。
 というわけで放っておきましたが、嫌な気分は尾を引きました。

 そして下りの途中で、また別のマナーの悪いおっさんがいました。
 人の背後にいきなり割り込んできたかと思うと、その脇からスルスルっと抜け出て、
 人の歩く前方の雪の中にスライディングする、変な野郎。
 「びっくりしたー、あっぶねーなー」と言うと、
 振り返って「なんだコラ、殺すぞお前」とか暴言を吐き、また雪中をスライディングし、
 猛スピードで去って行きました。
 このおっさんはちょっと挙動不審でイカレちゃてる感がありましたので、
 完全無視しましたが、これまた嫌な気分が残りました。
 というか、病んだ精神のようなものを感じました。
 だって「殺すぞお前」だぜ。いきなりそんな言葉出すか? 普通。
 こっちはシーカヤックガイドなんぞを生業としているわけで、自分で言うのもなんだが、
 ごつい系のガタイをしている。一方向こうは貧相で小柄なおっさん。
 そういう関係性の中であえて彼が使用する究極の言葉には、
 非常なる不気味さを感じさせられました。

 ぼくは自然の中でこんなことって、出くわしたことがないんですよね。
 少なくともシーカヤックでは一度もないですね。ありえない。
 もちろんガラの悪い漁師などに出会ったこともあるけれど、ある意味正直者で、
 ここまでの毒気を感じたことはない。
 インドやアラビア半島やベトナムやインドネシアで漕いだ時も、
 世界のどん底と言われるインドのとんでもないスラム街を歩いた時も、こんな感じの病んだ心
 みたいなものに出くわしたことはない。ちょっとびっくりしちゃいました。
 
 たとえば電車に乗るとよく邪悪な雰囲気を漂わせつつブツブツ独り言を言ったり、
 駅員に食ってかかっていくような変なおっさんっていますよね。
 チンピラとかとは別の意味でかかわり合いになりたくない輩。
 よっぽどストレスがたまってるか、つまらない人生を送ってるんだろうなと、
 思っちゃいますが、その毒気をそのまま自然の中にも持ち込んでくる人もいる。
 そういう連中とは無縁な人生を送りたいものだと思いました。
 だけど多いですよね、そういう輩、今の日本。

 山は美しかったですよ、すごく。


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