川野夏美さんの新曲はとってもいい曲です。6月8日に発売された『空席』で、前曲の『想い千すじ』から8か月の比較的短い間隔でのリリースになりました。
作曲は『想い千すじ』と同じ杉本眞人氏で、さすがに歌謡曲の名手と思わせる、心地よく爽やかなメロディーが流れます。
内容は空港を舞台にしたドラマ性のあるもので、日本クラウンによると「想いを寄せる男性から新天地に誘われながら、自立を決意する女性を描いた」となっています。
この主人公の女性はこれまで何度もその相手に裏切られ、これが最後と賭けて待っていたが、やはり相手は来ず、一人で搭乗して旅に出るといったストーリーです。
作詞は本橋夏蘭氏という割合新進の作詞者のようですが、なかなか巧みな歌詞で、航空券(チケット)、アナウンス、搭乗口(ゲート)、テイク・オフといった空港に関連の言葉をうまく使っています。
「何度見上げる 3番時計」という歌詞がありますが、これはおそらく羽田空港出発ロビーの3番時計のことでしょう。
「空席」は来なかった彼の座席の意味ですが、「空」の字が空港、旅客機のイメージと重ね合わさったようないいタイトルですね。
彼女は難なく歌いこなしているようですが、なかなか難しそうな曲です。歌謡曲ファンは是非チャレンジされたらいいと思います。