新しくついた患者さんは日本人の男性だったので
山口さん (仮名)と呼ぶことにしよう。
アルツハイマー病も持っておられる山口さんは71歳
まだまだお若い、、です。
東京の孤児院にいた彼をアメリカ人夫婦が養子にされ
それ以後アメリカで生活をされている事を
ナースの言葉かけに頷きながら山口さんが私に話してくれた。
養子になった年齢も
どの町で育ったかも
病の為 確かではない。
アルツハイマーを病んでおられる山口さんが話される内容は
断片的ではあったけれど
私が訪問した1時間 ほとんどずっと話をされていた。
会話の中で山口さんは何度も
”They made fun of me"
僕の事を馬鹿にするんだ とか からかうんだ。
と言う意味のその言葉を
悲しそうな表情で繰り返された。
48年生まれの山口さんが少年期を過ごされた50年代
今よりアジア人への差別も露骨だっただろうし
辛い思いをされたと想像するけど
その体験が今も
山口さんの心の傷として残っているのが悲しかった。
スマホで桜の動画を探してお見せすると
スマホをご存じでないようで
”それは何?” と訊かれる。
電話でもあり写真やビデオも撮れると
それだけの事にも
驚いておられたので
面白くなった私は
”ほらこうして自分の写真も撮れるんですよ。” と
次回訪問する時はラップトップを持って行こうと思う
スマホより大きなスクリーンで
日本に関する動画をお見せしたい。
静かな音楽がお好きな山口さんでもある。
何かいい動画をご存じならお知らせください。
帰る時
”さよなら” と言ったら
”さよなら” と
すぐに返してもくださった。