職場で一緒に働く中国人の寿司子が
出産後も共働きをする為、子供の世話に
中国から両親を呼び寄せてから5年以上が経つ。
それから数年後には兄と姉家族も中国から呼び寄せ
皆、アイオワ州のこの町で暮らされている。
英語に不自由されながらも兄弟夫婦 皆共働き
アメリカに来るやすぐに仕事も見つけ
辞める事なくずっと働いておられる。
こんな風に夫婦が共働きをするのも
その為に祖父母が孫の子守をするのも
中国では当たり前の事らしい。
車の運転をされない寿司子のご両親が
寒さの厳しい冬も寿司子の幼い子供たちを
歩いて学校まで迎えに行かれている話を以前聞き
病気になられた場合を心配した事だった。
何しろアメリカは医療費が高額
その上その頃ご両親は医療保険に加入されていなかった。
65歳になられた寿司子のお母さんが
高齢者用の公的医療保険メディケアに加入出来たのは今年の初めだった。
高血圧を持っておられると聞いていたので
それを知りホッとした事だった
そして
この国で税金を納めた事もないご両親が
アメリカの社会保障を利用出来る事に驚きも持った。
どんな会話内容でも ガハハハハ と
大きな声で笑う寿司子が最近大人しい。
ぼんやり考え事をする姿も多く見かけ
訳を訊くと
寿司子の父親が肺癌と診断され
それも脳以外の全身に転移し
余命6か月と医者から宣告を受けたと言う。
それだけでもどんなに心細い事か
そんな中ご両親は中国に帰る事を望まれ
両親の世話をする家族が中国にいない為
その望みを叶えてあげる事も出来ない寿司子は
行き場のない想いで苦しそう
”余命6か月と医者から宣告されたら
ホスピスケア―が受けられ
ナースやボランティアが自宅に患者さんを訪問してくれるわよ。
費用は医療保険でカバーされる筈。” と
そんな事しか考え付かなかった私が言うと
寿司子の顔がパッと明るくなり
ホスピスの連絡先を訊いてくれた。
その日のうちに連絡を取り
ホスピスケアーを希望する事を伝えて来たらしい。