ライブ・エナジー/ジャーニー(1981)
1.マジェスティック
2.消えたあの娘
3.ジャスト・ザ・セイム・ウェイ
4.バイ・バイ・スージー
5.ライツ
6.僕のそばに
7.トゥー・レイト
8.ディキシー・ハイウェイ
9.フィーリング・ザット・ウェイ
10.エニタイム
11.ドゥー・ユー・リコール
12.ウォーク・ライク・ア・レディ
13.ラ・ドゥー・ダ
14.ラビン・タッチン・スクイージン
15.ホイール・イン・ザ・スカイ
16.お気に召すまま
17.ブルー・スカイ・パーティ
なぜか僕は、ジャーニー嫌いと思われているようで、今月28日と来月12日に、京都・北山のMOJO WESTで行なわれる『産業ロックだよ!全員集合!!』に、ジャーニーのコピバンで参加する事について、「えっ!ジャーニー嫌いなのに何故?」なんて聞かれたりして、それはそれは困っているのである(笑) そりゃ確かに大ファンという訳ではないが、決して嫌いではない。それどころか、友人にジャーニー・ファンがいたせいもあり、スティーブ・ペリー加入後のアルバムは全て聴いている。ボーカルがスティーブ・オージェリーになってからのアルバムも、ちゃんとチェックしているのだ。生半可なファンよりは、よっぽどジャーニーには詳しいのだよ(爆) と言っても、自分で持ってるのは『インフィニティ』と『エッセンシャル・ジャーニー』だけだったりするのだが(爆爆)
そんな中で、一番聴いたのは、このライブ盤だろう。前述のジャーニー・ファンの友人から、初めて聴かされたジャーニーがこれだった。彼は前年(1980年)のジャーニーの来日公演を見に行って、一気にファンになったらしい。僕はといえば、ジャーニーは名前は知ってたけど、ろくに聴いた事もなく、「ラビン・タッチン・スクイージン」や「お気に召すまま」をかろうじて知ってる程度で、この『ライブ・エナジー(なんとも言えん邦題じゃ)』を聴いて「へぇ、ジャーニーってこんなバンドなんだぁ」と新鮮な驚きがあった。ま、10代の頃は、何聴いても新鮮に感じたんだけどね(笑)
しかし今聴いても、ライブ・バンドとしてのジャーニーを見事にパッケージした、実に優れたライブ盤であると言える。アメリカのバンドとはいえ、ここまで明るく軽やかにハイテンションな演奏を繰り広げるバンドというのも、当時でも珍しかったのではないか。ここで聴かれるテンションの高さは、ある種全盛期のグランド・ファンクに通じるものがある。その原動力は、なんといってもドラムのスティーブ・スミスだろう。よく知らないけど(あれ?ジャーニーには詳しいんだ、とさっき言いませんでしたっけ?)ジャズ畑の出身らしく、そのせいかプレイにミョーな重さがない。しかし、実は技巧派なんだけど、その技巧を前面に出すことはせず、ロック的なノリ重視のドラミングだ。少々走り気味でも、そのまま突っ走って結果としてメンバー全員のテンションを上げていくあたり、イアン・ペイスに似ているかも。音が軽めなのもいい。そのスティーブ・スミスに引っ張られ、ニール・ショーンもこれでもかと弾きまくる。彼が最も生き生きと弾きまくっていたのは、実はこの頃なのではないか、なんて思わせたりもする。ま、弾きまくるとは言っても、ジャーニーはあくまでもボーカル中心のアンサンブルで押すバンドであり、ニール・ショーンはきっちりとまとまった構成の中で弾きまくってる訳で、冗長なソロとは無縁だ。たとえ短くても情報量は豊富なギターソロが、絶妙なスピート感を醸し出す。深みが足りないとか何とか言うヤツには、言わせておきなさい(笑)
アタマの3連発「消えたあの娘」「ジャスト・ザ・セイム・ウェイ」「バイ・バイ・スージー」が、既に圧巻である。インストの「マジェスティック」がテープで流れ(多分)、オーディエンスの期待が最高潮に達する中、スティーブ・ペリーのMCに続き、ドラムの連打に続いてギターリフになだれ込んでいくあたり、いつ聴いてもゾクゾクする。なんてカッコいいんだ。そして「消えたあの娘」へ。この曲、単純な構成だけど、ひとつ踏み外すと立ち直れないという厄介なタイプの曲で、始まってしまったらコースアウトは許されない。ひたすらついていかねばならないのだ。ここで聴かれるジャーニーの演奏も、緊張感たっぷりで、めちゃスリリング。で、あっという間に「消えたあの娘」が終わると、間髪入れず「ジャスト・ザ・セイム・ウェイ」へ。グレッグ・ローリーが歌うこの曲、ややテンポはゆっくりだが、テンションの高さは変わらず。ここで少しペースを落として、再びテンションの上がる「バイ・バイ・スージー」へ。こちらはキメの多い曲だけど、バンド一丸で決めまくる。ギターソロもすごいぞ。もう、この3曲でお腹いっぱいだったりして(爆)
テンション高い演奏だけでなく、スティープ・ペリーも絶好調だし、さりげなくコーラスをばっちり決めてるのも見事。荒っぽいようでいて、決めるとこはしっかり決めてるのだ。演奏の一体感、そこから感じ取れる和気藹々とした雰囲気。技術的にも高水準。思えば、ジャーニーが最もバンドらしかったのは、この頃だったのかもしれない。この後、彼らは『エスケイプ』でアメリカン・ロックの頂点に立つが、『ライブ・エナジー』までのジャーニーに感じられた、やや鈍くさいような連帯感は希薄になってしまった。僕が『エスケイプ』以降のジャーニーを冷ややかな目で見てしまうのはそのせいだ。ジャーニー嫌いと言われるのも、それが原因か(笑)
誤解しないで欲しい。『エスケイプ』も『フロンティアーズ』も素晴らしいアルバムだ。決して僕はジャーニーを否定してるのではない。ただ、「ドント・ストップ・ビリービン」や「セパレイト・ウェイズ」ばかりがジャーニーではない、と言っているだけである。でも、80年代にジャーニーがトップに上り詰める過程で、捨ててきたものも多いと思う。そんなジャーニーが捨ててしまったものが、この『ライブ・エナジー』には詰まっている。だから、僕はこのライブ盤が好きなのだろう。てな事を「トゥー・レイト」や「フィーリング・ザット・ウェイ」や「エニタイム」を聴く度に思うのだ。
そんな想いも込めて、来月12日のMOJO WESTで、我々完全尼嗜好はジャーニーやります。もちろん、このライブ盤からの曲が中心です。是非、皆さんいらして下さいね。
と、ちゃっかり宣伝もするのであった(笑)