MFCオーナーの私的歴代最高のアルバム500選
140位→121位
☆140位☆
Thick As A Brick/Jethro Tull (1972)
ジェラルドの汚れなき世界/シェスロ・タル
LP両面で一曲という、プログレ超大作であるが、決して難解ではなく、歌部分の分かりやすさもあり、長いけれど、取っ付きやすい作品となっている。ジェラルドという少年の書いた詩をモチーフにした、という嘘八百のコンセプトもユーモアたっぷり。スリリングで複雑な演奏もなかなか楽しめる。こんなアルバムが全米No.1とは、良い時代だったと思う。
☆139位☆
Midnight Cowboy/Original Soundtrack (1969)
真夜中のカーボーイ/オリジナル・サウンドトラック盤
アメリカン・ニュー・シネマを代表する作品と言われている。冒頭に流れるニルソンの「うわさの男」がとにかく有名で、確かに名曲だが、それ以上にジョン・バリーによるテーマ曲が素晴らしい。名曲である。ハーモニカがリードする中で導かれる哀愁の旋律がとにかく泣ける。素晴らしい。エレファント・メモリーの曲もなかなか良い。
☆138位☆
From Russia With Love/Original Soundtrack (1963)
ロシアより愛をこめて/オリジナル・サウンドトラック盤
007シリーズ2作目。シリーズ中最高傑作と思う。ジョン・バリーによる音楽も素晴らしい。マット・モンローの歌うテーマ曲をオーケストラでインスト化したメイン・タイトルが白眉である。「ゴールデン・ホーン」「007」といった挿入曲も印象的。『エヴァンゲリオン』の音楽も、本作に影響されてると思う。ジョン・バリーは本当に凄い。
☆137位☆
Les Liaisons Dangereuses 1960/Art Blakey's Jazz Messengers (1959)
『危険な関係』オリジナル・サウンドトラック/アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ
ジャズ・ミュージシャンが手がけたサントラの中では、『死刑台のエレベーター』と並んで有名な作品と思う。冒頭の「危険な関係のブルース」は、テーマが奏でられたあとサックスやトランペットによるソロ交換、そしてまたテーマに戻る、という構成が分かりやすく、ジャズに疎くても馴染みやすい。アフロ調の曲が収録されている所にも、当時の彼らの方向性が垣間見える。
☆136位☆
George Harrison/George Harrison (1979)
慈愛の輝き/ジョージ・ハリスン
「愛はすべての人に」「プロー・アウェイ」の2大名曲を含む本作は、ジョージを代表するアルバムと言っていいと思う。曲にもサウンドにもボーカルにもギターにも、優しくて儚げでちょっとセンチなジョージらしさが溢れている。この頃が、彼の人生で最も公私共に充実していた時らしく、全編に幸福感が満ちており、聴けば聴くほど虜になるアルバムである。名盤。
☆135位☆
Power In The Darkness/Tom Robinsn Band (1978)
パワー・イン・ザ・ダークネス/トム・ロビンソン・バンド
パンク・ムーブメントの中から登場したバンドであるが、トム・ロビンソン自身が当時からゲイである事を公表していたのもあり、他のパンク系とは違う立ち位置だったように思う。ヒットした「2・4・6・8モーターウェイ」に代表されるように、キャッチーで小気味良いロックン・ロールが身上だが、曲の出来も良いし、キーボードがいる事でアレンジに幅があるのも強み。
☆134位☆
Hasten Down The Wind/Linda Ronstadt (1976)
風にさらわれた恋/リンダ・ロンシュタット
名盤の多いリンダだが、本作は選曲も良く、最高傑作と言っていいのではないか。まだ無名だったカーラ・ボノフの曲を3曲取り上げており、そのどれもが素晴らしく、そのせいかリンダがいつも以上に熱唱しているように思う。レゲエな「ハートを下さい」、メロウな「おしゃべり屋」も良い感じ。「ザットル・ビー・ザ・デイ」のギター・ソロの掛け合いも名演。
☆133位☆
Between The Lines/Janis Ian (1975)
愛の回想録/ジャニス・イアン
ヒットした「17歳の頃」を含む、出世作であり代表作。アコーステイックな雰囲気で淡々と歌われる曲の印象が強いが(「置き手紙」「約束事」など)、歌い上げ系の曲も鮮烈だ(「冬の部屋」「愛の回想録」など)。「17歳の頃」がそうであるように、明るい内容の曲は少ないが、感情的にならず作品と距離を置いている感があり、メロディも分かりやすく、落ち着いて聴いていられるアルバム。
☆132位☆
One Of These Nights/Eagles (1975)
呪われた夜/イーグルス
タイプの違う3曲のシングル・カット(「呪われた夜」「いつわりの瞳」「テイク・イット・トゥーザ・リミット」)が目立ってしまうアルバムではあるが、「トゥー・メニー・ハンズ」「安らぎに寄せて」「ビジョンズ」といった曲も地味かもしれないが佳曲である。ウェスト・コーストのバンドらしい雰囲気も残っていて、"ホテカリ"前夜でもあり、正に過渡期のアルバム。
☆131位☆
Young Amercans/David Bowie (1975)
ヤング・アメリカン/デビッド・ボウイ
変容を続けるボウイは、本作でソウル・ミュージックに接近、自らそれを"プラスティック・ソウル"と呼んだ。洗練されたサウンドながら、ちょっと捻れた感じの収録曲は、なんだかんだでボウイらしさ全開という気がする。ジョン・レノンとの「フェイム」や「アクロス・ジ・ユニバース」のカバーは非常に良いアクセントとなっているが、やはりタイトル曲は名曲である。
☆130位☆
Rapture/Anita Baker (1986)
ラプチュアー/アニタ・ベイカー
ブラコンなのかスムース・ジャズなのか、ジャンル分けも無意味な名盤。アニタ・ベイカーのボーカルの魅力で最後まで聴かせてしまうのが凄い。ゴージャスなバックの音も素晴らしい。アニタ自身もソング・ライティングに加わった曲たちも粒よりで、全ての要素が高いレベルで結実した奇跡のようなアルバム。ただ単にオシャレでムーディなだけではない、明確な意志に貫かれた世界である。
☆129位☆
Moving Pictures/Rush (1981)
ムービング・ピクチャーズ/ラッシュ
ラッシュのプログレ・ハード・ロック・トリオ期最後のアルバム。例によって、複雑な構成の曲を高度なテクニックで聴かせるが、何故かとても馴染みやすく、またコピーしたくなってしまう、というラッシュならではの世界。冒頭の「トム・ソーヤー」はその全てが集約された名曲だが、ライブでの定番インスト「YYZ」や大作「カメラ・アイ」、割にポップな「ライムライト」も聴き物。
☆128位☆
Live...In The Heart Of The City/Whitesnake (1980)
ライブ・イン・ザ・ハート・オブ・ザ・シティ/ホワイトスネイク
70年代のホワイトスネイクは、デビッド・カバーデイルのソロ・プロジェクトではなく、あくまでもカバーデイルを擁したバンドだった。本ライブ盤には、そんなホワイトスネイクの魅力がたっぷり詰まっている。「カム・オン」から「スイートトーカー」へと続くオープニングのカッコ良さには即昇天。代表曲が続くセットリストも文句なし。メタルではなくブルージーなハード・ロックが満載。
☆127位☆
Wings Greatest/Wings (1978)
ウィングス・グレイテスト・ヒッツ/ウィングス
ビートルズ解散後のポール・マッカートニーが最も光り輝いていたのが、ウィングスを率いていた70年代であるのは間違いない。この頃のヒット曲を一枚にまとめた画期的なベスト盤。全12曲、どの曲も素晴らしいメロディとアイデアに溢れた名曲ばかり。後の編集盤もこれがベースになっているのは当然。唯一の欠点は「あの娘におせっかい」が収録されてない事だけ。
☆126位☆
Along The Red Ledge/Daryl Hall & John Oates (1978)
赤い断層/ダリル・ホール&ジョン・オーツ
ホール&オーツも70年代の方が良かったと思う。本作は従来のブルー・アイド・ソウル路線に加え、新境地と言えるのかどうか、B面では多彩な(意外な)ゲストを迎えて、ロックンロール大会を繰り広げている。A面の従来路線では、名曲「イッツ・ア・ラーフ」をはじめ、バラエティに富んだ充実した作品が並ぶ。一般的な評価はともかく、名盤であるのは間違いない。
☆125位☆
Stranger In Town/Bob Seger & The Silver Bullet Band (1978)
見知らぬ街/ボブ・シガー&シルバー・ブリット・バンド
「ナイト・ムーブス」のヒットを足がかりに、ボブ・シガーは本作で人気を確立させた。シングルの「夜のハリウッド」「裏切りのゲーム」をはじめ、「フィール・ライク・ア・ナンバー」「街の孤独」など、キャッチーで豪快なアメリカン・ロックが堪能出来る名盤。後にカバーヒットが出た「夜の果ての愛」も名曲。正にボイス・オブ・アメリカと呼ぶべきボブ・シガーのボーカルが何より素晴らしい。
☆124位☆
Fly Like An Eagle/The Steve Miller Band (1976)
鷲の爪/スティーブ・ミラー・バンド
当時久々のアルバムが突如ベスト・セラーとなった。スティーブ・ミラー中心のトリオ編成でのシンプルなサウンドだが、シングル・カットされた「ロックン・ミー」「テイク・ザ・マネー・アンド・ラン」「フライ・ライク・アン・イーグル」のカッコ良さは今でも色褪せない。「星空のセレナーデ」「ザ・ウィンドウ」あたりも聴き物。途中に挿入されるシンセの短いインストも面白い。名盤。
☆123位☆
Royal Scam/Steely Dan (1976)
幻想の摩天楼/スティーリー・ダン
スティーリー・ダンがレコーディングのみに活動を限定していた時期の最高傑作と言っていいのでは。ラリー・カールトン、バーナード・パーディといったミュージシャンを起用して、様々な要素を取り込んではいるものの、スタイルとしてはあくまでもロックであるのが良い。ファンキーな「滅びゆく英雄」「緑のイヤリング」もいいが、「トルコ帽もないのに」のアイロニーもいい。
☆122位☆
Band On The Run/Paul McCartney & Wings (1973)
バンド・オン・ザ・ラン/ポール・マッカートニー&ウィングス
ポール・マッカートニーの最高傑作は、間違いなくこれ。何故か政情不安なラゴスでの録音で、そのせいか緊迫感が漂っているのもいいし、シンプルなサウンドも曲の出来もいい。ポールらしいアイデアに溢れたタイトル曲もいいが、「ブルーバード」という裏名曲もある。「ミセス・バンデビルド」も聴き物。ラストの「西暦1985年」がスリリング且つドラマティックで素晴らしい。
☆121位☆
The Rise And Fall Of Ziggy Stardust And The Spiders From Mars/David Bowie (1972)
屈折する星屑の上昇と下降そして火星から来た蜘蛛の群れ/デビッド・ボウイ
デビッド・ボウイのみならず、70年代ロックを代表する名盤。地球に落ちてきたロック・スターの活躍を描く、というコンセプトも当時としては画期的だったと思うが、それを可能にしたのがボウイ自身の類い希なソング・ライティングの才能である。本作の凄さは、収録曲全てのグレードが高く名曲揃いであること。「月世界の白日夢」「スターマン」等々、こんな凄いアルバムは他にはない。
次回は、120位→101位です。いよいよ上位100枚に迫ってきました(笑)
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