1日目宿泊のホテルへ向かい、目的地チェルトナムへとバスは出発しました。皆席に腰を落ち着けてホッとした様子です。無論私もそうでした。現地ガイドさんからバスの説明がありました。新車であり、所謂外車に当たるバスだそうです。だから物珍しくて現地の人から注目を浴びるとの事でした。 観光バスらしく大きく開けた窓がバスの側面にあります。座席の位置も高く、見通しがききました。窓が広いので、バス下部の道にも視界は届き、この事がこの土地の風景、風土を間近に見る事を可能にしていました。
特に車道の直ぐ傍までやって来る小動物、リスやウサギが現す素朴な姿を見る事は、私の心を和ませるこの土地の印象的な風光明媚となりました。車窓のヒツジや馬、時にカーニバルのテントの連なり、高くそそり立つような尖塔の建造物、黄色い花の群生が続く丘陵、私はこの旅でそれらを飽きる事無く車上から眺めるのでした。
また、私は車内から囲い込みの石造りの連なりを幾つか見て、この国の歴史に思いを馳せました。そして繰り返し目に移り行く羊、羊、また羊の群れと、顔の黒い羊、毛に目立つ色が付いている羊、等、何思う事無く、目に映るままそのままに任せていました。
一行の誰かから質問があったのでしょう、2、3日して現地ガイドさんからこれら車窓に映る羊の群れの説明を受けました。顔の黒い羊は羊毛と言うより食用の羊として飼われていることを知りました。毛に色が付いているのは雌で、交尾した印だという事でした。持ち主によってつけられている色が違うから、一時にカラフルな色を付けた羊は複数の雄と交尾したという事で、持ち主や人から好ましくないと嫌がられる、または嫌われるのだという事でした。
車窓の風景