シェイクスピアの生家にやって来ました。服の仕立をされていたお家だとか、中には当時の大中小のハサミが展示してありました。年代物ですね。
形を見て少なからず衝撃のある感動を受けました。和バサミそっくりです。金属製で、大きい物は相当大きく、1メートルはあろうかというような、いえ、もっと大きかったかもしれません。こんな大きなハサミでどうやって切るのだろう、人が使いこなせるのかしら?と疑問に思うくらいの大きさでした。そして、普段私たちが和バサミと言っている表現の道具が、我が国固有の物でないことを知りました。
和と言うからには和製、日本独特のものと思っていましたが、イギリスにこの形のハサミがあるということは、洋の東西を問わず人の発想が同じなのか、この遠いヨーロッパの地からはるばる日本に迄伝わったのか、または本当に日本発祥の物で、昔ここまで伝えられたのか。ここで私は心の内に様々に反問したのでした。
洋バサミ、和バサミという区別が、この昔のハサミの前では意味をなさない事に不思議な嫌悪感を感じるのでした。訳の分からない事、混乱や困惑といった感情への嫌悪感でしょうか。この時、私はこの感情が自身の愛国心から来ている事は確かな事だと感じていました。イギリスでこのハサミを見た事はやはり衝撃でした。
さて、今私は旅の書類の中にシェイクスピアの顔のある紙袋を思い出しました。ここで何かお土産を買ったのだろうと思い至ると、何を買ったのか考えてみました。袋の大きさから言うと冊子です。パンフレットでも買ったのかなと、本棚を探してみました。
ありました。「THE PITKIN GUIDE」とあります。冊子の上、ウイリアムシェイクスピアの文字の左に日の丸が付いています。日本語版ですね。再び紙袋を取り出してよく見ると値札が付いていました。£2.99とあります。袋入りで売られていたのでしょう。