Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

ダンスは愉し 4

2019-01-17 09:28:02 | 日記

 先に来ていた子達は鈴舞さんの同年代の子達よりは2、3歳年が上になるようでした。小さい子といっても背丈や体つきが確りしています。師匠が何か言うと、舞台で所作を習う子と、廊下でそれを座りながら見ている子との2手に分かれるました。師匠は弟子の女性に舞台の指導を任せ、廊下に降りるとテープレコーダーの前に座り、楽曲のテープをキュルキュルと巻き戻して曲を再生する為にスイッチを捻りました。鈴舞さん達新参者は、稽古中の先達からやや離れると、階段近くの板の間にちょこんと並んで正座して座りました。鈴舞さんも友達に教えられて一番左に並びました。

 鈴舞さんには馴染みのない曲と歌声が始まりました。彼女と共に来た同い年の弟子の子の1人が笑顔で嬉しそうに何々だと曲名と踊りを言い当てると、おやという感じで師匠は笑顔をその子に向け、よく知っていたね等愛想などして、如何にも嬉しそうに弟子の年少の子達に笑みをこぼして見せました。

 『綺麗な女の人』

鈴舞さんはこの時、師匠の顔を正面から見て思いました。並んだ子達は曲を言い当てた年少の子に顔を向ける子もいれば、無関心で知らん顔をしている子もいました。顔を向けた子は羨ましそうにその子を見やったり、または妬ましそうな表情を浮かべて覗い見たりと、それぞれがそれぞれに十人十色の風情で並んでいました。

 鈴舞さんは初めてやって来た日舞の稽古場に、物珍しさと興味を持ってしげしげと眺めると言いました。

「家の柱より小さい柱だね、小さなお部屋だね。」「家より綺麗だね。」

低い天井や、細い柱、使われている樹木の光沢について屈託なく述べた彼女の感想に、連れの子達は肩をすぼめて冷っとした感じになりました。鈴舞さんのすぐ横の子はしかめっ面を彼女に向けました。ここでそんな事を言っちゃいけないのよ、そう彼女に言うと、静かに前の人の踊りを見ているのよと注意しました。 


今日の思い出を振り返ってみる

2019-01-17 09:25:06 | 日記

 

 
傘の思い出2
 日本の首都である東京という都会へ私が出て来たのは、離婚したという理由もありましたが、父から再三家を出てくれと言われた事が主となる原因でした。どうせ家を出るなら、子供が肩身の狭い思......
 

 「傘の思い出」の続編です。昨年は1日に2話目まで書いたようですが、書き出しの方のこちらをを持ってきました。


ダンスは愉し 3

2019-01-16 11:28:24 | 日記

 幸いな事に、この真摯な態度と集中力で、彼女は学校時代の行事で行われたダンスの振り付けを完璧に熟す事が出来ました。そして、行事本番の日になる頃には、その音楽に合わせて踊るという行為が心底大好きになったのでした。けれども、その事で彼女はダンサーになる事や何かしらの舞踊について興味を持った訳ではありませんでした。踊り手になるという事など夢々思わず、何かの踊りを習おうという考えなども微塵も彼女の脳裏には浮かばなかったのでした。学校時代の彼女にとって、踊りは精神的に開放される清々しい愉しみ、恒常的な学業に抑鬱され、身体的にも鬱屈した日々の気分転換になる運動の1つだったのです。

 行事が終わるとダンスは終わりを告げ、その事に彼女は特に不満も持たずにその時覚えた踊りを終了するのでした。彼女は踊る相手が必要なダンスは忘れてしまいましたが、人の入れ替わりなく輪になって只踊る様なダンスは単独で踊る事が出来る為、その後もその曲が流れると自然ステップを踏んだりする事がありました。そんな時はその踊りを覚えた時のグランドや空の色などが明瞭に彼女の瞼に思い浮かび、日常気にも留めなかった頬吹く風に気付いたりするのでした。彼女にとってダンスは憩であり自然からの贈り物のように感じる癒しの時をもたらしてくれる物でした。また、彼女の内にある感性が自然の万物に共鳴する時空を作り出してくれるリズムなのでした。

 そんな彼女が園のお遊戯の次に出会ったのが日舞でした。ある日の午後、近くに住む集団登園のお友達が2、3人、習い事に行くというので、彼女は「すずちゃんも一緒に行かない?」と、誘われるままに彼女達について行ったのでした。行ってみるとその日本舞踏の稽古場は鈴舞さんの家から割合すぐの、小さな路地にある長屋の様に家が続いた1棟の家の2階に有りました。

 『こんな所に…』彼女は思いました。同い年の女の子達が通う日舞とか言う踊りの場所が有るのかと、小さな玄関引き戸を潜り、狭く暗い階段を上りました。稽古場に出た彼女はきょろきょろと縦長な9畳程の部屋を見渡しました。屋根裏をそれ風に設えたようなこじんまりとした稽古場でした。鈴舞さんは部屋に存在している光沢のある木の柱や廊下、畳みの踊り場を興味深く眺めました。それらは一般家庭にある物より小作りに見えました。木の廊下は弟子が正座して自分の順番を待つ場所であり、廊下から一段上がった畳の並ぶ場所が日舞を習う稽古場、舞台となる物のようでした。部屋には先生に当たる女性師匠と弟子兼助手が2人程と、鈴舞さん達より先に来ていて、踊りを習いながら踊っている最中の弟子の女の子が数人いました。

 

  「ダンスの愉しみ」は、題名を「ダンスは愉し」に変更しました。


今日の思い出を振り返ってみる

2019-01-16 11:20:14 | 日記
 
傘の思い出

 その時の傘への嫌悪感に似たコンプレックスが甦って来ました。『そんな親への不満話もこの場では出来ないから。…今更この色の傘を差したくはない。』と私は視線を落とすのでした。しみじみと......
 

 この場合の傘は雨傘、英語でumbrellaですね、parasolも近年の猛暑には嬉しいですね。雨が降っても日照りでも、傘って嬉しい物ですね。気に入った傘が差したい物です。


パフェ

2019-01-15 10:23:42 | 日記

 いちごと言えば苺パフェです。アイスクリームと生クリーム、他にも何個かのったフルーツが 好きでした。チョコレートストロベリーパフェなんて言う物もあって、チョコとストロベリーの組み合わせが魅力的で捨てがたかったものです。お値段的にはストロベリーは上位クラスでしたから、チョコレートバナナパフェ辺りでしのいでいたものです。