土筆(30)
「物事ゆっくり考え直せば、ほら分かって来ただろう。」という父から教わった言葉通りに、私は落ち着いて、落ち着いてと、繰り返し心の中で呟きます。そうして気持ちを落ち着けると、今までの......
子育てにゆっくりと時間を掛けられる、祖父母と同居、3世代家族というのも良いものですね。
土筆(30)
「物事ゆっくり考え直せば、ほら分かって来ただろう。」という父から教わった言葉通りに、私は落ち着いて、落ち着いてと、繰り返し心の中で呟きます。そうして気持ちを落ち着けると、今までの......
子育てにゆっくりと時間を掛けられる、祖父母と同居、3世代家族というのも良いものですね。
土筆(29)
「勝手に1人で何処にでも行っちゃだめよ。」 お姉さん然として、私にこう注意した時の彼女の笑顔は、私より年上の彼女は私より何でも知っていて余裕があるのだ、というコンプレックスを......
ここ北陸でも、巷には土筆が生えそろって、いかにも春が来たという風情です。
私の本の配本店舗のお知らせです。
注文で取り寄せもできます。
3月末に本屋さんに届き、4月店頭に出ます。
文庫本、1冊 600円 です。
ご希望の方はご購入ください。
書名は「めいぷるしろっぷ」
著者名 さと さとみ
出版社 文芸社
です。😊
追記
文庫本なので、自費出版でも冊数は割合ある方です。が、全国で出回るのは150部程かな(私見)と思います。再版は、購入希望の読者の皆さん次第となりますから、相当数ないと実施されません。なので難しいと思います。今ある初版本が無くなる前に、ご購入希望の方はお早めの購入、または注文をお勧めいたします。(さと さとみ)
沢山の人に読んでいただけるいと嬉しいので、なるべくなら1人1冊、または1家に1冊換算でお願い致します。
「落ちこぼれ、落ちこぼれ。」
宇宙船の通路を1人歩きながら、ミルは自分の過去に起こった嫌な出来事を思い出していました。それは彼が集団での初等教育を受け始めた頃の事でした。
それまでの彼は、研究者の両親に伴い、あちらこちらの両親の研究対象の星を転々としていました。そんな彼の大人ばかりに囲まれた環境や、仲良しの子が出来てもすぐに別れなければならない身の上を心配した両親は、コンピューターでの個人教育だけでなく、同年代の子や多くの子供達の固定した集団環境の中で、自分達の子、ミルにきちんとした教育を受けさせたいと願うようになりました。そこで彼の両親は彼を父親方の祖父母に預けたのでした。
ミルの祖父母は彼の父の故郷の惑星で定住しており、とうの昔に隠居生活を楽しんでいました。その為快く孫のミルの子育てを了承し、めでたく孫と祖父母の3人暮らしが始まったのでした。祖父母の住んでいた惑星はこの星の近年の風潮、自然回帰の潮流に合わせた自然そのままの様な区域が多く作られていました。ミルは朝早くから夜遅くまで、終日そんな野山を飛び回っていたのでした。
そんな彼の最初のㇾポート提出の日、採点を終えた先生はミルの名を呼び、彼を名指しで「要努力者です。」と指定したのでした。「ミル君、皆のレポートはね、君の数段上の水準だ。質も量もだよ。」もっと学習に励みなさい。そう言われてミルは雷に打たれたようなショックを受けました。ミルは今までの両親との自由闊達な個人の生活とは違う、管理社会の集団に入り周囲と比べられ評価されるという、彼自身の厳しい身の上を否が応でも悟らねばなりませんでした。
この一瞬、あっけに取られていた彼は大きく口を開け、次の瞬間には首を垂れるとがったりと気持ちが落ち沈み、自分が皆より酷く小さく肩身の狭い暗い場所にいる様な錯覚に陥りました。ひやりとした冷気が自分の身にどんと覆い被さったような大きな圧迫を感じ取ったのです。彼の目に映る周囲の彩色は居心地の悪い冷淡な色彩に変わっていました。
この為その日の教育ルーム、所謂この星の子供達が教育を受ける学校としての施設、その中の教室のような学習部屋は彼にとって居た堪れない場所になったのですが、追い打ちをかける様に、その日施設を後にした彼を帰宅する彼と共になった何人かの同年代の子供達が、前述の言葉でやんやと彼を囃子立てたのでした。一頻の囃子声が笑い声と共に駆け出して遠退いてしまうと、ミルは同い年のその子達の冷淡で悪質な行為に呆れ返っていました。
土筆(27)
ここで、この兄妹の事情がさっぱり分からない私は、「あの人って、…。」と彼女の兄の名を挙げてみました。薄々「あの人」は彼女の兄さんの事なのだろうと感付いていましたが、それでも私は確......
親子間、兄弟間、1つの家庭でも色んな組み合わせの関係があるので、その間にも事情がそれなりにある物です。