Reflections

時のかけらたち

チャイコフスキーシンフォニー第5番の公開リハーサル  ・・・ rehearsal of Tchaikovsky's Symphony No. 5

2021-02-19 23:59:41 | music

          2月18日 (本公演 2月19~21日)

 

新日本フィルハーモニー   指揮: 大友直人   コンサートマスター : 崔文洙(チェ・ムンス)

新日本フィルを支援しているAさんよりお誘いいただいて、またゲネプロを聴きにすみだトリフォニーホールに行きました。生の音に飢えている私にとてもうれしいことです。

始まる前にいつもやっているリハーサルのように普段通りにやりますとのアナウンスがあり、今回正式に団員となったフルート奏者野津さんの紹介があり、みんなが祝いました。主席フルート奏者としてですが、正式団員になったとのことです。この方はいつも楽しそうに吹いていて、いつも慶びにあふれていましたが、スピーチで楽しく学ばせていただいていると話していました。団員やサポートしている会員にお祝いされていて暖かい雰囲気でした。

前回のドヴォルザークの8番に続きチャイコフスキーの5番は好きな曲です。

チャイコフスキーの5番は最近聴いたような気がしてブログで検索したら、2019年の3月の「心に残るコンサート」に記録がありました。ファビオ・ルイージ指揮デンマーク国立交響楽団でやっぱり2楽章で泣いちゃっていました。

4楽章から練習が始まった今回のゲネプロ。一番大変なところから始めていたみたいです。全身全霊で表わさないと伝わらないと話す指揮者大友直人さんの作り込みの指示がすごい。最初何だか音がラフでエネルギッシュだけどまとまっていないような気がしたけれど、やっぱり合わせることを指示してきました。クレッシェンドの仕方、ビブラートのかけ方、ピチカートの感じ・・テンポ、チェロにはこの音で泣くくらいの美しさをだすように・・  繰り返していくとメリハリがついてきます。いつもコンサートの終わりに指揮者がそれぞれの演奏者をほめて立たせていますが、ここまで持って行くのは大変だと思いました。言葉で説明していくことも多いので、外国人の指揮者の場合はまた別の苦労もあるかもしれませんね。

次に1楽章から2、3とリハーサルが行われましたが、2楽章は管楽器の出番が多かったですね。他の所でも弦がいろいろな楽器から流れを作って、組み立てられていることもわかりました。近くに座っていた人がスコアを見ながら聴いていたのには驚きました。指揮でも勉強しているのかしら?

この曲を聴くと大学生の頃、離れて暮らしていた家族の所に帰った時に、雪が深々と降る日に家でチャイコフスキーの「悲愴」を聴いていた時のことを思い出します。そのころ憧れていた高校時代の先輩のことを思っていました。その後学生運動の中で彼は大学を中退して会えなくなってしまいました。40年ぶりくらいに高校の同窓会に初めて出席した時になぜか来るような気がしていたのですが、やはり来ていて私の夢は壊れました。話しかけることもなかったのですが、今は夢の向こうの真実の世界を知るべきだったと後悔をしています。彼は学生時代のあの姿勢を貫いて生きたようです。

一瞬でも結婚までしようとしていた人との別れも思い出しました。彼はアート・ディレクターでその後賞を取ったり、新聞で個展の案内があったりしていたので、見に行ったことがありました。何のわだかまりもなく、お互い一人の女の子の親になっていたことがわかりました。変わらずクリエーターとして活躍していました。 でも高校の同窓会で再会した学生時代に好きだった人には大学生の時までしか知らなかったので、何か今を見たくなかったような複雑な思いでした。もう一人久しぶりに会いたいと思う人はその昔サマセット・モームの「赤毛」の話をしていたっけ。

 

自分の孤独な魂が宇宙をさまよっているような気がしたチャイコフスキーの音楽でした。心の中の宇宙がチャイコフスキーの音楽で満たされました。日本人好みの作曲家とも言われますが、やっぱり美しく許しに満ちた曲でした。

 

音楽を聴いているとその美しい音の中にいて、時間を超える世界に入るような気がします。

 

Feb.18  2021  Kinshicyo

コメント (2)
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