Reflections

時のかけらたち

黒沢清監督特集の日 ・・・ Kiyoshi Kurosawa

2021-02-14 22:35:57 | movie

  

以前「あん」のDVDを借りて見た時に、そこで予告されていた黒沢清監督の岸辺の旅をいつか見たいと思っていました。

2月11日にたまたま「半藤一利さんをしのんで」*という番組を見て、その後もそのままにしていたら、なんと「岸辺の旅」をやっていました。

*半藤一利さんは「日本のいちばん長い日」「昭和史」など多くの歴史ノンフィクション作品を発表。過ちを繰り返さないために歴史を学ぶことがいかに大切かをうったえ続けてきた。その原点には、14歳のときに東京大空襲で九死に一生を得た戦争体験があった。NHKアーカイブスに残されたさまざまな番組やインタビューからその人生を振り返り、ゲストの池上彰さんとともに半藤さんが令和の日本に残したメッセージを読み解く。ゲスト 池上彰 (ジャーナリスト)

始まってから数分経って何か良さそうでTVに近づいてみたら、何と見たかった映画でした。最初の数分見ていなかったので、この映画に死んだ人と生きている人が入り交ざっているなんて知らなくて、時間が操作されているだけかと思ったりして不思議な感じがしました。

Bande-Annonce: Vers l'Autre Rive - 岸辺の旅 (2015) de Kiyoshi Kurosawa

とにかく浅野忠信がすごくいい。演技が自然で隣にいる人がしゃべっているみたい。深津絵里も蒼井優もよかったし、他のキャスティングも淡々と話の流れに乗っていました。バレーダンサーの首藤康之だけはエキセントリックな感じがしましたが。

良くも悪くも日本映画らしくない映画だと思ったら、日仏合作だったのですね。なんだかヨーロッパの映画でも見ているような感じがするのは映像がシャープでいて美しいせいか、それとも音楽のせいかどうもわかりませんでした。ヴィクトル・エリセ監督とか思い出します。

主人公が村の人を集めて、講義する中で、ゼロとか物質、宇宙の話があって、果てしない世界の不思議を再び思う。宇宙が誕生して137億年たち、40億年後の地球は暑くて人間が住めなくなっているとか・・・ 気の遠くなる世界の謎。

内容)

湯本香樹実による同名小説を黒沢清監督が映画化し、第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で監督賞を受賞。深津絵里と浅野忠信が主役となる夫婦を演じた。3年前に夫の優介が失踪した妻の瑞希は、その喪失感を経て、ようやくピアノを人に教える仕事を再開した。ある日、突然帰ってきた優介は「俺、死んだよ」と瑞希に告げる。「一緒に来ないか、きれいな場所があるんだ」との優介の言葉に瑞希は2人で旅に出る。それは優介が失踪からの3年間にお世話になった人々を訪ねていく旅だった。旅の中でお互いの深い愛を改めて感じていく2人だったが、瑞希が優介に永遠の別れを伝える時は刻一刻と近づいていた。

2015年製作/128分/G/日本・フランス合作
配給:ショウゲート 

監督 黒沢清

原作 湯本香樹実 黒沢清

キャスト 深津絵里 浅野忠信 小松政夫 蒼井優 首藤康之 柄本明
 

黒沢監督は原作についてこう語っています。

「死んだ人が戻って来ること自体はよくある設定だと思うんです。ただ、ほとんどの場合は生きていた時の過去がどうだったかを検証していく話になる。死んでから何をやっていたのかを確かめようという、死んだ者にとっては少し過去ですが、生きている瑞希にとっては全く聞いたこともない部分で、未来というか現在形のことなんです。だから、死者と生者の関係を描きつつ、物語としては常に現在進行形で進んでいく。昔を取り戻そうという話ではなく、先へ先へと進んでいこうとする物語に最も魅かれました。本当に映画的だと思いますね」

「最後、曖昧ではありますけども、僕としては一抹の希望を残して、僕の映画はいつも終わらせているつもりです。」と語る監督の言葉通り、悲しい別離を描いた映画なのになぜか希望の光が見える映画でした。

 

映画に続いて、クローズアップ現代の昨年の番組が放送されていました。インタビュー番組で面白かったです。

17年ぶり快挙! ベネチア監督賞 黒沢清監督が語る

同じ蒼井優と高橋一生を主役として作った「スパイの妻」が監督賞を昨年の秋に取ったのですね。かすかにニュースで聞いたような気がするけれど・・・注目の監督だったけれど見たことはなかったし。

 

コメント (2)
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