中学校時代からの恩師・浜光雄先生を訪ねた。
12歳で先生に出会い、師事すること、今年で43年になる。
年に2回、恒例の報告会というか、話が肴の“ふたり飲み”(笑)である。
飲みながら、半年間の出来事、してきたこと、思ったことを、互いに出し合っていく。
昼12時から始めて夕方まで。
なんとも愉快で、贅沢な時間だ。
浜先生は、童話作家「はまみつを」である。
先生の、児童文学界における師匠は大石真であり、大石先生の師匠は坪田譲治だ。
滔々たる文学DNAの流れ・・・・
77歳になる先生は、現在も原稿用紙に向かい続けている。
近著『白樺教師 中谷勲』(郷土出版社)は、信州白樺教育を代表する一人、中谷勲(なかやいさお)の生涯を描いた絵本だ。
信州白樺教育は、武者小路実篤らの雑誌「白樺」が唱えた個性尊重の精神を教育の場にうつし、実践しようとしたものだ。
だが、当時の社会では、白樺教師たちの行動は認められず、異端者、危険思想、非国民という扱いを受けた。
ひたすら子どもたちのことを思う教師以上の教師などあり得ない。
先生は、中谷勲を「愛の教師」と呼んでいる。
現在の信州教育界に、どんな形であれ“白樺のDNA”が継承されているのか、いないのか、それはわからない。
ただ、浜先生と向かい合っている時、「ここに一人の白樺教師がいる」と、いつも思う。
やはり、愉快で贅沢な時間だ。