碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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言葉の備忘録36 高平哲郎『今夜は最高な日々』

2010年09月15日 | 言葉の備忘録

本屋さんの棚を眺めていて、「待ってました!」という本に出会うと、本当に幸せな気分になる。

高平哲郎さんの新著『今夜は最高な日々』(新潮社)は、まさにそういう一冊だ。

学生時代に偏愛した(70年代半ばの)『宝島』の編集者、そして編集長であり、今でも“好きな番組”ベストテンに入る『今夜は最高!』(日本テレビ)の構成作家だった高平さん。

実は、日々番組を作っている頃、何度かお会いするチャンスはあったが、実現しなかった。やはりプロデューサー時代は忙しすぎたのだ(笑)。

高平さんには、『ぼくたちの七〇年代』(晶文社)という傑作回想記があるが、その続きである80年代編が読みたいと、ずっと思っていた。

だから、今回の本は嬉しい。

私にとっても、ついこの前なのに懐かしい“あの時代”を背景に、ジャズ、落語、テレビ、舞台と、高平ワールドが展開されていく。

本のカバーは、もちろん『今夜は最高!』のタイトルバック。

テーマ曲や、「ブ~ン!」という複葉機のSE(効果音)も聴こえてきそうだ。

きらめくビル群の下を、「WHAT A FANTASTIC NIGHT」の文字が流れて・・・・



生きてきてしまった過去に赤を入れたくなる部分はたくさんあるけど、少なくとも八〇年代の日々には、いまさら赤を入れたいとは思わない。いいことも悪いこともあったからこそ「今夜は最高な日々」だったのだから。
――高平哲郎『今夜は最高な日々』