ご本人がお元気な頃に、一度会ってみたかった人物の一人が宇野千代さんだ。
『色さんげ』『おはん』、そして『生きていく私』の宇野さん。
なんてったって、その恋愛遍歴に登場するメンバーがすごい。
尾崎士郎、梶井基次郎、東郷青児、北原武夫だもん。
この豪華メンバーが雁首そろえて魅かれる女性、会ってみたいじゃないですか(笑)。
宇野さんが遺したエッセイを読んでいると、普通なら苦労とか苦境と思われる状況も楽しんでしまうこと、そして嫌なことはすぐ忘れてしまうことの2つがよく登場する。
これって、すごい才能だ。
古書店で見つけた『続 幸福を知る才能』(海竜社)は、昭和58(1983)年の刊行。
どんな好ましくないことからでも、逃げるのは負けである。真に逃れるためにはその只中へ進んでいくこと。すると事情はまるで変わる。
――宇野千代『続 幸福を知る才能』