『日刊ゲンダイ』に連載中のコラム「テレビとはナンだ!」。
今週の掲載分では、テレビ東京「なんでも実況ショー3!衝撃!オンナの裏側SP」を取り上げた。
なんでも実況してショーにしてしまう、というコンセプトはわかるが、本当に「なんでも」いいのか(笑)、という話だ。
見出し:
出産を見せ物にしていたテレ東の番組は不快だった
コラム本文:
先週のテレビ東京「火曜エンタテイメント」は、「なんでも実況ショー3!衝撃!オンナの裏側SP」。
これに愕然とした。
メイク編は沢田亜矢子などが化粧する姿、化けるプロセスを実況。
また、エステ編では熊田曜子のへそエステ、芦川よしみのラップエステが実況された。
しかし、正直言って美しい光景ではない。
むしろ、何か見てはならないものを見せられたような、イヤな気分だった。
さらに今回の目玉は何と出産である。
インリン・オブ・ジョイトイが自分の初産を撮影させたのだ。
実況とはいえ、録画だからあくまでも編集された映像であり、また無痛分娩だったため静かな出産風景となった。
しかし、夜7時半という夕食時の放送だ。
分娩室で汗まみれになっている産婦や、取り上げられてまだ血のついたままの新生児を見せる必要があるのか。
お目出度いはずの出産なのに、祝福したいと思わせないような不快感。
もちろん「出産もM字開脚」などと笑えもしない。
やはりショーとしての出産、見せ物としての出産に無理があるのだ。
生命の誕生という厳粛な“現場”に興味本位でカメラを入れ、実況という名の見せ物にするなら、死もまたいずれ見せ物にしそうで怖い。
まさか死刑の実況はやらないだろうな、と心配させるに十分な実況ショーだった。
本当に、何が望みなんだ? テレビ東京。
(日刊ゲンダイ 2010.09.14付)