障がい者の就労支援について管内施設の視察(厚生委員会2)

2013-07-19 16:05:15 | ノーマライゼーション
19日の厚生委員会管内視察その2です。
初めに漢字の使い分けをお断りします。障害の『がい』について、法や制度のことを言う時は『害』、所管事務調査のタイトルの時は『がい』、私の意見などを述べる時は『碍』を使っています。

今回は、東村山市が委託している
障害者就労支援室についての報告です。
総括責任者の 橋川直紀氏よりご説明いただきました。

東村山市障害者就労支援室は
2009年11月18日解説
常勤2名、非常勤2名の体制

利用対象者は、
東村山市内在住の障害者と家族

障害者を雇用している、または雇用を考えている企業
障害種別、手帳保持の有無、就労の有無は問わない

現在の登録者数 195名
身体39名、知的71名、精神81名(何れも延べ人数)
その他4名(手帳未取得)

精神障碍者の利用が増えているそうです。

支援メニューは
就労のための相談や支援として
就職するまでにハローワークへの同行、面接練習、履歴書を書く支援、面接同行など
就職後は、職場定着支援として職場訪問、聞き取り、面談などを行っています。

就労の状況は
就職者数 延べ105名
身体27名、知的28名、精神53名
正規雇用8名、非正規(契約、パート)89名

週30時間以上64名
20時間~29時間28名
20時間未満13名
など成果が現れていました。

しかし、離職者も多く、職場の人間関係で離職するケースが多いとも。
でも、幾度も挑戦するなど
障碍者の側の意欲も大きいと思えます。

今後の課題として
1、他機関との連携
挨拶、身なりを整えるなど就労の準備ができていない方もおり、
関係機関との連携で草した取組が必要だとの指摘がありました。
2、離職者を増やさないこと
就職した後の支援、離職の大きな要因となる職場での人間関係に対する支援など必要だが、
人手がなくて、本当に大変なところしか訪問できていないとの悩みも支援をする側から出されていました。

前にも言いましたが、
障碍者は、その特性に応じた個別の支援計画が必要です。
そのためには、支援する側の人手が大きな力になります。
職場での仕事の手順をジョブコーチが先に覚え、共に取組、覚えてもらう
コミュニケーションに問題が発生したら
障碍当事者の性格や障碍特性を伝えて、どのようにしたら職場のコミュニケーションがうまくいくようになるかを、企業側と当事者との両方を支援することも求められています。
こうした取組を行うには人の配置が重要だと言うことを
行政側はぜひ認識していただきたいと思います。

同時に、支援する側は
もっと当事者同士のピアサポートのできる体制、取組を組織しても良いのではないかと思います。
その組織化ももちろん人ですが・・・

非正規雇用が多くなると言う悩みも出されていました。
差別で非正規というのは許せません。
しかし、障碍特性と個人の状況から正規の働き方は困難だという方もおられます。
私は、障碍者が、親や兄弟など、家族に頼って生きるのではなく、
非正規であっても、自分で働いた所得と
障害年金、又は生活保護とを組合わせて、経済的な安心感を抱くことができ、
その人生の目標を持って生き生きと暮らすことができれば
そのことのほうが重要だと思います。
障碍当事者の長所を生かし、できる最大のことを、支援することこそ
就労支援のもう一つの役割ではないかと
今回の視察と聞き取りで改めて考えました。

まだまだ浅い捉え方かも知れませんが・・・。

厚生委員会で管内視察=障碍者の就労支援施設

2013-07-19 14:22:26 | ノーマライゼーション
今日、厚生委員会で、所管事務調査事項に掲げた
障がい者の就労支援について
をテーマに、管内の施設を視察させていただいた。

視察先は、
社会福祉法人東京コロニー トウーコロ青葉ワークセンター
ご説明と、ご案内をいただいたのは
常任理事・ワークセンター所長 武者明彦氏
 と
東村山市が委託している
東村山市障害者就労支援室統括責任者 橋川直紀氏。

法人の歴史と、『福祉工場事業本部』『社会就労支援本部』『IT事業本部』『福祉事業本部』等の実施事業についてご説明をいただきました。

就労支援事業としては
トーコロ青葉ワークセンターで
就労移行支援事業(定員15人)
就労継続支援B型事業(定員80人)
コロニー東村山で
就労移行支援事業(定員20人)
就労継続支援A型事業(定員10人)
就労継続支援B型事業(定員50人)
東村山市障害者就労支援室
を実施
説明にあった
B型での1人当りの月額工賃 27,505円
就労移行支援の1人当り月額工賃 20,775円
という低さは、全国どこでも大きな課題となっています。

就労移行支援事業とは、
一般企業への就労をめざし訓練を行う事業で
体力向上、集中力・持続力の習得、適正や課題の整理
マナー、挨拶、身なりを整えることなどを習得
実習、求職活動、トライアル雇用などにも挑戦
利用者の就職後の職場定着支援など6ヶ月間フォローを行います。

この事業では、清掃の仕事の訓練に取り組み
そのクオリティの高さにグループで就労することにもつながったと説明が!
しかし、定員15人中8人の利用しかなく
ニーズがない訳ではないのに
訓練機関が2年間で、それが終わると行き先がなくなることに保護者も不安を抱くようだとの説明。
制度設計が、障碍特性を十分理解したうえでのものになっていないことを痛感させられました。

就労継続支援B型事業とは、
雇用に結びつかなかった方や一般就労が困難な方で
就労の機会を通じて、生産活動にかかる知識や能力の向上・維持が期待される方々へ
仕事の機会を提供する事業で
非雇用型なので、最低賃金は保証されません。
それでも、現場で
ご自分の特性を生かして
ご自分のできる仕事に懸命にとりくんでおられる姿は
障碍者への働く場の提供は、
その人が目標を持つ上でも重要なのだと思わせました。

就労継続支援A型事業は、最低賃金を保障すべき、利用者と雇用契約を結んで就労をしていただく事業で、
学校卒業後、就職に結びつかなかった方々
就労経験があるが今働いていない人など
今後、一般就労に向けて支援をする事業です。
この事業の事業者としての課題は
定員を拡大するにも仕事がないと言うことでした。

B型の事業で、パソコンを使った情報処理作業なども
企業から受注し、
顧客名簿のラベリング、
顧客への定期刊行物送付などのメール作業等々、
事業者側も、障碍特性に合わせた仕事の開拓に力をいれていました。

障碍特性を生かすことのできる作業内容と環境の整備で
働く場を作り出すことは可能であり
一般企業がこれを理解して
障碍者への雇用の機会拡大に取り組んでもらいたいと
改めて思いました。

もう一つの成人式

2012-01-25 14:42:01 | ノーマライゼーション
今年も1月15日 障害を持った方々の成人、還暦、勤続のお祝いの会が開かれた。

子どもたちやお祝いを受ける方々の
プロフィールが 写真で紹介され
市長から記念品を贈呈
その後、保護者からもコメントがある

二十歳の今日まで良く育ってくれた
今後も 健康で 仕事に 日常のくらしに
がんばってほしい
がんばります

とどの保護者も
口々にのべ、

成人を迎えることそのものの大変さと
この日を迎えたことの喜びを表していた。



お祝いに合唱団も駆けつけ
4曲を披露

最後はみんなで歌って終わりになった。

障害者自立支援法で翻弄され、
施設も 法内施設への選択など
本当にめまぐるしい数年であった。

障害のある方々とそれを支えるご家族や
支援に当たる各施設のスタッフの努力にいつも頭が下がる思いであると同時に

いつまでも『頭が下がる思い』のご苦労をこれらの方々にさせて良いのかと
腹立たしくも思う。

政治が責任を果たしていない!!

箱物より生きるための施策が当たり前に優先される自治体へ

2011-02-26 06:12:16 | ノーマライゼーション

前回と前々回に以下のコメントをいただきました。公開にしましたが、すぐに目についてもらいたいと思い、少し長くなりますが以下ご紹介します。

自立支援法の良し悪しは別として・・・
2月22日に厚生労働省の課長会議資料において、地域生活支援事業の移動支援の運用において「事業の利用を希望する者の心身の状況や利用についての意向等を十分に把握した上で適切な利用時間数を設定するなど、サービスを真に必要とする者に適切に提供されるようお願いしたい。」という記述がありました。

また、昨年末に自立支援法の改正案が可決され同日公布・施行となった同案の移動支援に関する要綱でも、『能力及び適性に応じたサービス量しか支給しないように読まれるおそれがある』として目的規定等にある「その有する能力及び適性に応じ」との文言を削除。となっています。
なので今回の支給量の少なさは国の意向に反したものであることは明白ですし、「言われなければ黙っていよう」的な所管のスタンスにしか思えません。
―11.2.24-

前回のコメントでは現行の延命的自立支援法の理念をある意味肯定的に解釈して申し上げましたが、今回は逆の言い方となります・・・
まぁ、いずれにしても所管のやっていることが矛盾してるんですけど。

自立支援法は事実上違憲と判断され、障害者権利条約の批准が求められ、現在それに則した制度作りが推められています。

なお、障害者の権利条約の主旨は以下の通りで
①「合理的配慮」により、障害者に実質的な平等を保障する。
②意図的な区別や排除、制限だけでなく、意図的でない場合でも結果的に不平等になることは差別であるとする考え方。
③障害(者)を特定せずに、社会参加ということを社会環境との関係で考える広い考え方。
④障害のない人と同じように建物や交通機関の利用、道路の使用が可能かどうか、情報やコミュニケーションサービスを得ることができるかどうか→「アクセシビリティaccessiblity」を重視する考え方。

東村山市の移動支援に関して言えば①から③の部分が明らかに権利条約に反しているんですよね…。

もちろん、予算だとか色々ありますから何でもかんでも移動支援を使うと言うつもりは無いんです。
必要最低限として障害の種別に関係なく、障害を持つ親と当事者が妥協できる程度の移動支援の利用条件と支給決定時間数が欲しいと言っているだけなんです。
その想いも無視されたことは、市内の障害を持つ児童と親そして関係者を失望させました。
一番辛いのは聞く耳を持たないって事ですから。
-11.2.25-


以上が寄せられたコメントです。
この方のおっしゃる通りだと思います。
東村山市は、お金が無いとすぐ言います。でも障がいのある方々が、本当に社会で皆と一緒に生きるため、『自立』するためには、あらゆるサービスが、構築されなければなりません。それが国連で多くの国が批准した障がい者の権利条約です。

我が国の障害者自立支援法は、この障がい者の権利条約に反し、障がいのある方々から生きる手段、社会参加の条件をできる限り制限して給付しようというものです。
国の支出を抑えるのが大きな目的で、自立支援法が出来たと言ってもいい過ぎではありません。
ノーマライゼーションという言葉が、私たち日本人の中に浸透して何十年たっても、政治の分野でお金が無いことを盾に“サービス”が制限されるなど本末転倒です。

箱物や大型道路の建設は先送りしても
こうした、人の生きることに対する施策は最優先で、というより当たり前に実施されるべきだと思います。

こうした自治体に一緒に変えていきましょう。


障がい児の移動支援事業について

2011-02-25 00:04:08 | ノーマライゼーション

昨日報告した、地域生活支援事業の件で、

請願が採択されたので、もっと切実なことを分かってもらおうと
市長へのメールで、
学校と学童の間の送迎について、利用できるようにしてほしいこと、
そうする事で、親が働き、生活保護などを受けなくて済むようになること
などを、事を分けて説明し、さらに4時間では足りない。もっと充実して下さいとお願いをした保護者に、担当所管から回答が届けられました。

「移動支援事業において、バス停から学童クラブまでの送迎を対象とすることに関してですが、国における移動介護(現在の移動支援事業)の定義として、「社会生活上必要不可欠な外出及び余暇活動等の社会参加のための外出(通勤、営業活動等の経済活動に係る外出、通年かつ長期にわたる外出及び社会通念上適当でない外出を除き、原則として1日の範囲内で用務を終えるものに限る。)の際の移動の介護。」としており、その定義に基づき、当市では定期的な送迎においては原則として移動支援事業の対象としておりません
やむを得ず一時的に行う必要がある場合は派遣を制限するものではありません。」

「基準時間に関して、当市において原則は「支援費支給決定基準策定協議会」での移動介護の議論のとおり、幼児・児童は障害の有無に関わらず保護者が付き添う期間(教育委員会の子ども関係施策に関する調査より)という前提がございます。」

というものです。

つまり、年齢制限を廃止すべき、他市と比べても見劣りがする制度ではなくもっと充実させるようにという議会での議論を無いものとした回答である。
厚生委員会の委員長として、私も納得がいかない。

請願が採択された趣旨を正しく理解して、行政運営にあたってもらいたいと強く思う。
予算委員会で追求したい。

先日の記事に対し、保護者からのコメントが寄せられた。
昨日の記事を参照に、あわせて読んでいただきたい。