版元の彫師 北斎漫画の彫師
江戸時代の「出版社」「印刷屋」「書籍販売店」を一手に引き受けていた業種のことを「版元」と言います。
「版元」も、現代の週刊誌にあたる「浮世絵」や「娯楽もの」を作っていたところと、専門書などの書物を専門に作っていたところに分かれます。
色の数だけ彫る版木
例えば、北斎が描いた原画をもとに、桜の版木に絵をさかさまに貼り付け、見当(目印)を彫り、貼り付けた下絵に沿って彫りこんでいきます。
江戸時代の後半になって「多色刷りの浮世絵」が出てきますが、彫師は色の数だけ版木を彫りあげていかなければなりません。
繊細な線を彫る神経を集中する時などには、ガラスの容器に水を入れ、それに光を当てて乱反射で手元の影をなくして彫っていきます。
素晴らしい知恵だと思いませんか。
摺師の仕事
彫り終えた版木に和紙を当てて刷りこんでいく職人さんを「摺師(すりし)」といいます。
細かい線や、ボカシの技法を駆使して素晴らしい版画(浮世絵)が出来上がっていきます。
一般的には、200枚くらいが摺りあげる枚数です。
しかし評判のいい版画になると、摺りの枚数が増え、線の細かい「摺り初めの浮世絵」も線がしだいに太くなり、もう一度版木を作りなおすことになります。
同じ北斎の浮世絵でも、少し色遣いや線が違うものがあるのはそのせいです。
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