2017年12月22日
北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二
[韓国 タチウオとイシモチもTAC魚種に]
韓国海洋水産部は、水産資源の保護を目的に、現在11魚種に適用している総許容漁獲量(TAC)を、タチウオとイシモチまで拡大する方針を提示しており、産業界に波紋が広がっている。
韓国一般紙(WEB)が伝えた。
特に、漁業種類のうちタチウオの生産量が二、三番目に多い釜山の大型巻き網と、大大型機船底びき網業界は、タチウオのTAC導入計画に反発している。
海洋水産部は、国立水産科学院、海洋水産開発院(KMI)、水産資源管理公団(FIRA)、漁業団体と今年2017年9月から今12月まで、“TAC制度拡大案用意のためのワーキンググループ会議”を3回行っていると同21日明らかにした。
TAC対象魚種と数量を一方的に決定するのではなく、専門家と業界の意見を集め、合理的に決定するため官民合同の会議を設定していると説明している。
タチウオとイシモチは、資源量が減少し続けている。
昨年2016年のタチウオ生産量は3万2,604トンで、前年同期比で25.9%も減少した。
これは太刀魚が最も多く漁獲された1974年(16万6,391トン)に比べなんと1/5のレベルに落ちた数値である。
イシモチも昨年2016年は1万9,271トンで、最高の生産量を記録した2011年(5万9,226トン)より67.5%も減少した。
このような状況から大型巻き網と大型機船底びき網業界には危機感が広がっている。
これらの業界の直近3年間のタチウオ生産の平均割合は、それぞれ17.8%、17.3%で、済州の延縄業界(19.9%)に続いて二、三番目に高い。
特に大規模な巻き網業界はサバの漁獲も低迷しており、タチウオが縮小されると経営に大きな打撃となると主張している。
釜山の大型巻き網漁業会社の関係者は、タチウオについてサバに続いて二番目に多く漁獲する魚種だとし、設定された禁漁期間も厳しく、大きな損害であると、政府に解除を求めている中で、TACまで適用するのであれば、経営は絶望的だと述べた。
業界の別の関係者は、TAC数量が合理的に決まったらよいが、漁獲実績が低調な直近3年を基準にすることを危惧しているとし、TACは、すべての漁業種に平等に適用されなければならないのに、生産量が小さい一部の漁業種は 例外で除外されているのは問題だと指摘した。
底びき網業界の関係者も、タチウオのTAC 導入に関し、規制の補償が全く準備されていない点について不満をもらしている。
タチウオとイシモチのTAC数量については、国立水産科学院が二魚種の最近の操業実績、体長などを調査した後、適正値を導き、海洋水産部に設定勧告し、海洋水産部が中央水産資源管理委員会の判断に基づいて最終決定することになる。
産業界は、来年2018年にタチウオとイシモチのシミュレーションを実施し、海洋水産部が2019年からTACを導入すると予想している。
海洋水産部関係者は、まだワーキンググループ会議で最終的な結論を下した状態ではなく、来年も会議を継続開催することに加え、魚種ごとに細分化した分科会も行ってゆく予定だと述べた。
2017年韓国TAC設定(トン)
고등어(サバ) 123,000
전갱이(アジ) 16,600
붉은대게(ベニズワイガニ) 38,000
키조개(タイラギ) 5,332
대게(ズワイガニ) 906
꽃게(ガザミ) 6,000
오징어(イカ) 141,750
도루묵(ハタハタ) 5,037
개조개(オオアサリ) 1,800
참홍어(エイ) 203
소라(サザエ) 1,432
計 340,060