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"スケソ21年TAC 水産庁が検討会開く”  2021年01月11日 週刊水産新聞 

2021-01-13 18:25:56 | 日記

2021年01月11日 週刊水産新聞 "スケソ21年TAC 水産庁が検討会開く”

[太平洋3年間17万トンで固定 繰越や配分見直し要望]

水産庁は、スケソの太平洋系群と日本海北部系群の資源管理方針に関する第3回検討会を昨年12月22日に室薗市、同23日に小樽市で開催。最大持続生産量(MSY)を指標とする新たな資源管理に基づく2021年漁期の漁獲シナリオ(TAC)案を漁業関係者に示した。太平洋系群は21年から3年間を17万トンで固定する案を選定。日本海北部系群は5年間を1万トンで固定するなど2案に絞った。意見公募を経て、1月の水産政策審議会資源管理分科会に諮問、決定される。

太平洋系群の検討会では、水産研究・教育機構が11月の前回(第2回)で漁業者から要望が出された固定式(期間・21~23年漁期の3年間または21~25年漁期の5年間、漁獲量・14万~19万トンの範囲で1万トン単位、固定期間終了後の漁獲・安全係数βを0・0~1・0の範囲で0・1単位)の各年の目標管理基準値を上回る確率、平均親魚量、平均漁獲量の将来予測を示した。

同予測では「設定される漁獲量によっては固定期間終了翌年に漁獲量が大きく変動する可能性がある。特に17万トン以上で固定する場合、いずれの固定期間でもその後漁獲量はほぼ減少する見込み」と説明した。

その上で「18、19年級が少ないと推定され、22~24年漁期には資源の減少が予測されている。資源減少時に高い漁獲圧がかかると、親魚量が減少するリスクが大きくなる」と指摘。「3年目に固定枠を見直す、または固定期間に漁獲圧(F)がMSY(17万1千トン)を実現する漁獲圧(Fmsy)を超えないようにするなどの制限を併用すれぽリスクは低減できる」とした。

これを受け、水産庁は「10年後(31年漁期)に親魚量が目標管理基準値(22万8千トン)を50%以上の確率で上回る」を基本とし、漁獲量の固定式2パターン(5年間16万トン、3年間17万トン)、道漁連が要望したTAC獲り残し分の翌年繰り越しを取り入れた3パターン(当初TACの上限5・10・15%)の計5パターンの漁獲シナリオ案を示した。

意見交換で、道機船連の原口聖二常務理事は「従来のTACは経年で変動してきた。固定化した場合、マーケットに対しインセンティブを与えるのかどうか。資源の面で5年間はリスクが大きく、3年間の固定で検証したい」と要望した。

水産庁の漁獲シナリオ案で3年間の固定式は漁獲量17万トン、4年目(24年)以降のβが0・9、未消化分の翌年繰り越し規定はなし。いぶり噴火湾漁協の岩田廣美組合長も3年間の固定式を選択する意向を示した上で「前浜に魚が来た時に漁ができるように固定式でも繰り越しを認めてもらいたい」と求めた。

水産庁は「繰り越しは漁獲量を安定させるという固定式の趣旨・利点にそぐわない」とし「『前浜に魚が来た時に獲れるように』という部分は上限1万トンを追加配分する旧先行利用ルールを今後も維持する」と強調した。

南かやべ漁協の鎌田光夫組合長は「今回新たに取り組むことであり、浜では固定式でも漁があつた時に繰り越しを認めてもらいたいという意見があることを、水産政策審議会に伝えてもらいたい」と要請。水産庁は審議会での説明を約束した。

また、いぶり噴火湾漁協の岩田組合長はTACの大臣管理と知事管理の配分比率について「マグロの二の舞にならないよう漁獲実績本位での決定はやめてもらいたい」と要望。水産庁は「実績を基本とすることを変更する考えはない。従来通りに関係者闇で別途合意があれば、それを尊重して対応していく」とした。

[日本海北部 沿岸7900トン繰越5% 沖底5年間1万トン固定]

日本海北部系群は、19年の親魚量が限界管理値以下のため、資源計画を策定。「10年後(31年漁期)に親魚量が暫定管理基準(17万1千トン)を50%以上の確率で上回る」を基本とし、水産庁は当面5年間の固定式(8千トン・9千トン・1万トン)など計5パターンの漁獲シナリオ案を示した。

意見交換で、道機船連の原口聖二常務理事は太平洋系群同様に魚価やマーケットに与える影響の検証などの観点で5年間の固定式を要望。さらに隣国・ロシアの資源開発率(漁獲割合)が10%以上に対し、日本が5%前後の状況に照らし「非常に強度な資源管理を行っていると評価される」とした上で「漁業ライバル国に負けるわけにはいかない」と、最大の1万トンの設定を要望した。

一方、東しゃこたん漁協の茂木隆文組合長は21年漁期が7900トンとなるβ0・9で、5%を上限に獲り残し分を翌年に繰り越しできる案を沿岸漁業者の総意として要望。その上で資源評価の精度向上、漁業現場の実態、将来の気象変化、関連産業を含めた地域経済への影響などを加味した制度運用を求めた。

繰り越しについて、道漁連の伊藤貴彦代表理事常務は太平洋系群と合わせて当初TACの5~20%の範囲とする検討結果に対し、生残率の観点などから疑義を唱えた。

また、水産庁が固定式について「資源評価結果を踏まえ、FがFmsyを超える場合など必要に応じて見直す」としたことに対し、道総研は「資源評価は資源の現状を的確に表現できる計算方法を日々研究しており、それを採用した結果、選択したシナリオを覆すことになりかねない」と指摘。「合意形成の段階でその点の考え方などを整理すべき」と要請した。

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