2021年01月21日
リポート:北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[ロシア漁業 スケトウダラ製品 中国貿易停止 政府介入買い上げ等を検討]
年間漁獲量が180万トンに及ぶ、ロシアのスケトウダラ漁業は、洋上でH&G(ドレス)を生産、中国へ輸出し、同国がフィレ加工してヨーロッパ市場へ再輸出することを主流として成立してきた。
2021年も年明け1月1日から、ロシア漁業にとって最も重要な春季オホーツク海抱卵スケトウダラ操業”Aシーズン”が既に開始されている。
しかし、当該操業製品の主要供給陸揚げ港となる中国の大連と青島が新型コロナウイルス拡散防止対策で、閉鎖状態となっており、ロシア漁業は重大な危機に直面している。
同年1月-3月、当該操業において90万トン以上の生産が見込まれているが、これまでの商業活動によるロシア国内市場の製品の吸収は最大28万トンと見積もられている。
このことから、先の会合で、全ロシア漁業者水産物輸出者協会ヴァルペ会長ズベレフは、ロシア政府が、主に軍、学校、病院等の公共給食産業向けとして製品買い上げを行う等、”政府介入”の緊急措置を求め、ロシア農業副大臣(漁業庁長官)シェスタコフはこの提案を支持、ロシア漁業庁は当該模索を開始したとされている。
関係者によると、この措置で70万トンのスケトウダラ製品を販売することが可能とする意見がある一方で、一部の業界専門家は、大量の冷凍製品を保管するための能力等の問題を指摘している。
現在も10隻のロシア漁船・運搬船が大連港で、3万2,000トンの漁獲物製品の陸揚げを出来ず停泊している。