2021年01月20日
北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[新しい”魚”プロジェクトに取り組む 上月豊久大使が極東・北極圏発展大臣と会談]
日本はロシアに対して、極東と北極圏の貿易・経済協力のための新たなコンセプトの草案を示し、特に、水産物加工と北極海航路の発展について相互の協力を強化することを提案した。
上月豊久駐ロシア日本国特命全権大使が、ロシア極東・北極圏発展大臣アレクセイ・チェクンコフと会談を行い、このテーマが議論された。
新型コロナウイルスの影響もあり、ロシア極東連邦管区と日本の貿易量は減少していて、昨年2020年1月-11月では金額ベースで前年同期比22.6%減の52億ドルにとどまっている。
現在、日本の投資家は、ロシア極東の先行発展特区と貿易自由港で、11案件、計1億8,100万ドルのプロジェクトに参加しているが、両国の経済パートナーシップの潜在能力は、まだ完全に発揮、実現されていない。
日本側が提案した今回のコンセプトは、エネルギー、水産加工業、港湾整備、物流インフラ、都市環境、観光等、多方面の方向への相互協力の拡大を前提としており、この中で、北極海航路の発展プロジェクトに積極的に参加する意思が表明された。
上月豊久大使は、北極海航路の利用が、従来の物流ルートよりも40%効率的と評価されると言及、同航路によるコンテナ・ラインの立ち上げの展望を指摘した。
また、日本側は、北極圏での再生可能エネルギーの使用と、大気中への温室効果ガスの排出を削減することを目的としたロシアのプロジェクトを評価した。
チェクンコフは、有望な分野は新たな物流インフラの発展で、特に海港の建設整備が重要だと強調、水産加工業を含め、施設建設と輸出量の増加を目的とした日ロ協力プロジェクトを支援しており、新たで、ユニークな貿易チェーンの構築への共同での取り組みに関心があると語った。
また、チェクンコフは、上月豊久大使に、ルスキー島での革新的な科学技術クラスター構築への日本の産業界、科学界への参加の呼びかけを伝えた。
双方は、これらのテーマについて、ビジネス・レヴェルでの定期的な議論を継続することに合意した。
さらに、極東と北極圏での協力のコンセプトを実施するためのロードマップを作成し、合意することを計画に盛り込むこととした。