2021年07月08日
日刊水産経済新聞【札幌】
[極東の保管能力に逼迫感 サケ漁で在庫過多に拍車?]
北海道機船連によると、ロシアのスケソウ業界は中国向けの輸出停滞が続く中、サケ・マス漁が本格化したことで極東の冷蔵保管能力が逼迫するとの懸念を示している。
業界団体幹部は国に対し、輸出手続きの簡素化などの対策を求めている。
ロシアから中国への輸出は、中国が新型コロナウイルス感染対策で輸入規制を強化した影響で、現状、手続きの調整に3週間程度を要しているとされる。
さらに製品供給は、運搬船での直接陸揚げを認めておらず、ウラジオストクや韓国の釜山
でいつたんコンテナに積み替えてから陸揚げすることが求められている。
これらの規制や手続きにより、中国へのスケソウ製品の供給は極端に鈍化。
ウラジオストクやカムチャツカの冷蔵庫には製品在庫が積み上がる事態となっている。
ロシアの業界団体・スケソウ漁業者協会の幹部は、この在庫過多の状況は6月から漁期入りした極東サケ・マスの製品供給により、さらに深刻化すると指摘。
これらの規制や手続きに伴い、出荷者には製品の運搬、保管などのための余分なコストもかかっているとし、ロシア当局に輸出手続きの簡素化や、釜山を経由して中国に製品を仕向ける場合の3国間輸送証明書の発行など、製品供給の円滑化に向けた体制整備を要請している。
これに対し、ロシア当局は中国や韓国と交渉するほか、アフリカや南米への輸出拡大も図るなど、対策に努める考えを示しているという。