2021年07月14日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[“またがり資源スルメイカ” 韓国 2021年度TAC決定 施行前に修正 1万トン戻す わずか2千トン減]
日本EEZとまたがり資源となる韓国EEZのスルメイカの2021年度漁期(管理期間2021年7月-2022年6月)のTACについては、7万3,834トン、当初設定前年度対比1万2,096トン減で施行準備がされていたが、これを修正、1万トンを戻し、8万3,834トンで最終決定された。
2021年7月12日付で韓国海洋水産部がこれを施行した。
前年度となる2020年度管理期、韓国漁船の漁獲量は最終的に3万3,000トン弱にとどまっている。
新漁期のTAC設定について韓国業界は、算定方法に問題があると指摘していた。
現在、韓国国立水産科学院では、TACの算定のために、複数のデータを入れる重要な要因の一つとして、過去3年間の平均漁獲量を用いている。
業界の関係者は、海況、着業隻数、操業日数などに影響を受けるにもかかわらず、単純に漁獲量を重視するのは乱暴だとし、荒天などにより操業期間が減少すると、TACも減少する構図となっていることを言及、これに加えて大きな問題として、中国漁船の違法操業による膨大な乱獲、そして、“またがり資源”であるにもかかわらず、当該漁獲量に関する情報がなく、全体の資源量がわからない中でTAC設定をすること自体非合理だと指摘していた。
スルメイカの資源利用者となる沖合イカ釣り、大型トロール、中型トロール、西海トロール(二艘引き)、そして、2020年度下半期からTAC管理(自治体管理)に加わった近海網の不満は大きかった。
一部には、スルメイカのTAC設定に行政がこだわる背景に、水産業をよく知らない政界の圧力があるとの指摘もあった。