2021年07月20日
レポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[ロシアのフィッシュミール月別生産量と価格の推移(2021年5月)]
日本よりロシアは漁業生産量でわずかにリードしているものの、フィッシュミールの生産量は日本(20万トン弱)が圧倒的に多く、これは、設備投資が求められる残滓利用が進んでいないロシアの状況を表すものとなっている。
ロシアは、資源に対する漁業製品歩留まりの向上、出現した極東海域のイワシ資源の利用、残滓の不法投棄問題の解決等を目的に、中国の水産養殖向け飼料市場ほか、世界的に需要が高まっている当該製品の生産拡大を、“2030年までの漁業発展戦略”に盛り込んでいる。
(生産量)
ロシアのフィッシュミール生産量は2018年、初めて10万トン台となり、以後、2020年まで生産を拡大させ、12万トン台となっている。
毎年、1月-4月、生産量が大きくなるのは、主に100万トン近く漁業生産が行われるオホーツク海抱卵スケトウダラ操業の残滓、これに次いで6月-8月、生産がやや大きくなるのは、太平洋サケマス操業の残滓と推察される。
さらに、ここ2年-3年、10月-12月に生産が大きくなる傾向を見せているのは、拡大を続けるイワシ漁業によるものと推察される。
今年2021年、同年5月末までの生産量は、6万400トン、前年同期比91%で、これは、新型コロナウイルス拡散防止対策による製品主要仕向け先の中国の輸入制限により、生産調整を行い、減産を余儀なくされたオホーツク海抱卵スケトウダラ操業の漁獲量にシンクロしている。
(価格)
2012年から2013年のロシアのフィッシュミールの平均価格は、トンあたり3万ルーブル台だったが、2014年12月に5万ルーブルを記録すると、翌2015年1月には6万ルーブルを超え、以後、2019年までは平均7万ルーブル台で推移、2020年の平均価格は8万1,600ルーブル強となった。
今年2021年1月-5月の平均価格は9万100ルーブルで、更にこれを上回る高値となっている。