2022年05月21日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[韓国 鬱陵島イカ釣り業界が大型トロール漁船の東経128度以東海域試験操業に反対を表明]
韓国のイカ釣り漁船の船主を中核会員とする鬱陵島漁業者連合会(以下:鬱陵島漁業連合)は、韓国自国EEZで操業する大型トロール漁船の船主で構成される大型機船底曳網水産業協同組合(以下:大型トロール水協)が、東経128度以東海域で一定期間、試験操業を行うことを求めている件に、反対の立場を表明した。
大型トロール水協は、操業禁止区域のライン設定について、日本占領下時代、日本の底曳網漁船と朝鮮に居住する日本人漁業者を調整するための措置だったとした上で、漁獲物の全量上場、CCTV設置など厳しい操業監視の実行、そしてTACの厳格適用等の自主的条件を提示し、当該海域での一定期間の試験操業の実現を求めている。
加えて、大型トロール水協は、日本を牽制し、漁業生産量を増やすためには、所属する大型トロール漁船と大型二艘引き網漁船の東経128度の縛りを解き、更に東の日韓共同水域の中で操業できるようにしなければならないと主張している。
これに対し鬱陵島漁業連合は、当該要求を糾弾する声明を発表、生存権が脅かされるとし、大型トロール漁船の東海(日本海)側進出に反対の声を高めている。
鬱陵島漁業連合は、同島ばかりでなく、東海側の沿岸漁業者は、未解決の北朝鮮海域における中国漁船の違法操業問題を抱えており、大型トロール漁船の進出を許せば、更に経営が悪化し、これが破綻する可能性があると訴えている。
なお、韓国漁船による自国EEZでの2021年度漁期(管理期間2021年7月-2022年6月)の2021年7月1日から2022年5月6日までのスルメイカの漁獲量は、4万1,290トンとなっているが、操業海域が東経128度以西に限定されている大型トロールと二艘引き西海トロールは、報告日まで2万1,440トン以上の実績を残し、韓国スルメイカ漁業の半分を上回る生産を西岸沖合漁場が占めている。