ロシア漁業ニュースヘッドライン

北海道機船漁業協同組合連合会
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一般社団法人北洋開発協会

ロシア“北極海航路総局”(ГУСМП)を国家予算で復活させる

2022-08-05 02:56:12 | 日記

 

2022年08月02日

北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

[ロシア“北極海航路総局”を国家予算で復活させる]

ロシア首相ミシュスチンは、今般“北極海航路総局”(Главное управление Северного морского пути,ГУСМП:グラヴノエ・ウプラヴレニエ・セヴェルノガ・モルスコガ・プチ:GUSMP)を、国家予算で復活(ロシア国家にとっては創設)させる命令に署名した。

受け皿母体は、現在、国家支援事業で北極海航路輸送プロジェクトを担い所属原子力コンテナ商船*“セヴモルプチ”(Севморпуть)を運航するアトムフロート“(Атомфлот)の親会社、国営原子力企業”ロスアトム“(Росатом)となる。

カムチャツカ地方は、特別に、生産力の大きい同地方で生産された太平洋サケマスのロシア西部・中央部への輸送について北極海航路の定期便化に強い関心を示している。

近年、同地方の製品の西部・中央部への輸送は、沿海地方を通じ、主に鉄道で行われているが、ウラヂオストクの冷凍冷蔵庫不足等により物流が滞ることが指摘されている。

カムチャツカ地方にとって太平洋サケマス漁期の物流問題は重要で、ペトロパブロフスクカムチャツキーからサンクトペテルブルグまでの北極海航路輸送は鉄道輸送の1/2の所要時間であり、期待が寄せられている。

*“セヴモルプチ”(Севморпуть)

1988年(ソ連時代)に建造されたKLT(КЛТ)-40タイプ原子力発電所を備えた砕氷輸送船。全長260メートル。原子力発電所で建造された非軍事商船4隻の中で最大。北海航路にちなんで名付けられ、プロジェクト10081唯一の船舶。コンテナで製品を北部の遠隔地に輸送することを目的としており、厚さ1メートルまでの氷を粉砕して航行可能。2019年現在、原子力発電所を備えた唯一の運航貨物船。

 

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ロシア 更新された“海洋ドクトリン”の優先課題として漁業・養殖分野が指摘される

2022-08-05 02:03:42 | 日記

 

2022年08月04日

北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

[ロシア 更新された“海洋ドクトリン”の優先課題として漁業・養殖分野が指摘される]

ロシア大統領プーチンは、2022年7月31日、サンクトペテルブルクで、“ロシア海軍の日”を記念する軍事パレードを視察、演説を行い、同日付で、“海洋ドクトリン”の更新にかかる命令に署名した。

ロシアの水産業の改革の継続は、当該ドクトリンの戦略目標に合致している。

海洋活動と海の潜在能力の開発は、21世紀のロシアの持続可能な社会経済発展のための決定的な条件の一つに位置づけられる。

これらはロシアの国益と、安全保障の確保の必要性によって決定される。

海洋資源の開発は、ロシアの原料基盤を拡大し、経済と食糧の安全保障を確保するために必要かつ義務的な条件となる。

この方向性には、海洋漁業ばかりでなく養殖漁業の発展も含まれる。

漁業・養殖は、ロシアの食料複合体の中で重要な位置を占めており、食料安全保障を確保するとともに、沿岸地域の大部分の重要な雇用の源となっている。

国家海洋政策の戦略的目標は、ロシアの国家安全保障の確保と、生産基盤の拡大や新規雇用の創出など、社会経済的発展に関わるものとなる。

漁業・養殖の開発のための優先事項は次のとおりとなる。

1)新造船建造プロジェクトの実現と国内造船企業への優先発注のための条件整備

2) ロシアの排他的経済水域外および世界の海洋の遠隔漁場における水棲生物資源の費用対効果の高い操業を可能にする高効率船舶の建造プロジェクトの実施

3) ロシア漁船が国内の水産加工企業に漁獲した水棲生物資源を供給するためのインセンティヴの創出

4)水産加工・冷蔵施設の新規建設および近代化

5)科学研究の範囲と規模を拡大し、世界の海洋の水棲生物物資源について定期的な調査とモニタリングを実施する

6) ロシア連邦の領海、排他的経済水域、大陸棚における水棲生物資源の保全と合理的利用

7)生態系の問題をクリアする水棲生物資源の人工繁殖、魚類・非魚類の繁殖や栽培のための現代技術の開発と使用、革新的なバイオテクノロジーパークの創設を含む養殖の開発

8)近代的な通信・モニタリングを使用した漁船団の活動監視・情報処理システムの開発

9) 近代的な漁船団による、外国の排他的経済水域、条約水域、公海水域での水棲生物資源の漁獲増加

10) 世界の海洋の水棲生物資源の利用を競う国際漁業組織への参加、国際協調と漁業の国際法的規制、並びに海洋環境の保護と保全のための活動の強化

11) カスピ海とアゾフ海の水棲生物資源の保全と利用、ロシアの利益を確保し、貴重な種と絶滅危惧種の個体群の保全を目的とした合意措置の開発と執行

12) 水棲生物資源から生産される水産物製品等の世界市場におけるロシアの地位の強化

13) 漁獲された水棲生物資源と生産される製品の認証の国家システムの開発と実施

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