2023年09月12日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[ロシア 第8回東方経済フォーラム 円卓会議“世界の海洋: ロシア船団にとってのグローバルな機会”概要]
2023年9月10日から同13日までの間、ウラヂオストクにおいて第8回東方経済フォーラムが開催されており、漁業分野のビジネス・プログラムが設定され報告担当者:原口聖二もこれにLIVE視聴参加したので、その概要を報告する。
同12日には“世界の海洋: ロシア船団にとってのグローバルな機会” (Мировой океан: глобальные возможности для российского флота)をテーマに円卓会議が行われ、海洋漁業の現状と、ロシア排他的経済水域(EEZ)外での操業におけるロシア漁業者が直面する問題、漁船団の再構築、西側諸国の非友好的な行動、サプライチェーンの混乱等について論議がなされた。
現在、ロシアは漁業分野の大規模な改革を行っており、漁船団と水産加工施設を更新している。
この点において、世界の海洋で新しいロシア漁船団が活動する時の経済的利益のための条件を作り出すことが重要となっている。
ロシアEEZ外での操業がロシア漁業の発展にとって戦略的に重要かつ経済的に有望な方向であることは明らかで、南極オキアミ漁業の復活、マグロ漁業への参入等が計画されている。
ロシアEEZ外の操業について、登壇したロシア漁業庁長官イリヤ・シェスタコフは、特にアフリカ諸国との伝統的な関係の重要性を指摘した。
ロシアは、モーリタニア、モロッコ等、西アフリカ諸国と漁業協力を継続しており、漁労分野ばかりでなく、製品の供給先にもなっている。
イリヤ・シェスタコフは、今後、東アフリカ諸国との協力関係にも取り組む必要があると言及、ロシア・アフリカ首脳会談の結果に基づいて、行動リストが作成されており、資源評価のため西アフリカばかりでなく、東アフリカへの調査航海を提案していることを明らかにした。
全ロシア海洋漁業研究所ヴニロ所長キリル・コロンチンは、多くの客観的な困難にもかかわらず、今日のロシアの漁業者は漁獲量が倍増する非常に良い見通しを持っていると言及した。
現在、ロシア国内漁業者はロシアEEZ外で100万トンの水棲生物資源を増産することを検討していると語り、大事なことは、恐れずに外洋へ進出することだと加えた。
なお、キリル・コロンチンは、福島第1原発処理水の放出にともない、同研究所の科学調査船が直ちに包括的な監視を実施していることを明らかにして、最初のデータ分析では、“何も恐れる必要がないことが分かった”と報告した。
2023年09月11日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[ロシア 第8回東方経済フォーラム 円卓会議“海洋:漁業と消費の進化”概要]
2023年9月10日から同13日までの間、ウラヂオストクにおいて第8回東方経済フォーラムが開催されており、漁業分野のビジネス・プログラムが設定され報告担当者:原口聖二もこれにLIVE視聴参加したので、その概要を報告する。
同11日には“海洋:漁業と消費の進化” (Океан — эволюция промысла и потребления)をテーマに円卓会議が行われた。
この円卓会議に登壇した、ロシア漁業庁副長官ハサン・リホフは、投資目的漁獲割当第1弾の評価と第2弾の見通しを報告した。
当該第1弾において、105隻の漁船建造と27施設の陸上水産加工場建設のプロジェクトが進捗、すでに、18隻、25施設が竣工している。
第2弾の付帯プロジェクトでは、漁船建造、水産加工場建設に加え、極東地方に4施設、北部地方に2施設、計6施設の物流複合施設が港湾で建設される計画となっており、水産物製品の物流のボトルネックの解消に貢献することになると説明した。
また、物流問題について、ロシア漁業庁がスケトウダラを対象に輸送補助金の実証を試験済であり、これをカラフトマス、ニシン、サバなど他の種類の魚にも拡大することを提案していると言及し、今年2023年末までに政府の対応が決定される可能性を示唆した。
ロシア沿海地方漁業者協会会長ゲオルグ・マルティノフは、イワシ・サバ、サンマ等の表層漁業の専門化された漁船団の構築の重要性を、NPFCのデータと日本漁船団の能力を例示して指摘、この課題への国家的支援を求めた。
ロシア極東海面養殖企業連合会会長ロマン・ヴィチャゼフとサハリン漁業者協会会長マキシム・コズロフは、養殖漁業の発展とこれらの製品の市場における需要を概説した。