2024年05月14日
北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二
[洋上風力発電と漁業#83 海外の経験 米国 トランプ 洋上風力発電標的 大統領令発布を約束]
日本での先行する欧米の洋上風力発電の漁業分野との共栄、相乗効果等の成功体験は、ほとんどが開発事業者による切り抜き発信で、実際に漁業分野の情報にアクセスしていくと様々な問題が報告されている。
世界中の漁業者は共通に、洋上風力発電プロジェクトについて、自らが知らない間に選定地が決まって唐突に説明会が始まり、漁業当局に十分なヒアリングを行うことなく、他の部局が主導する地方自治体の前傾姿勢による拙速な取り組みが行われ、事業開発者から漁業分野の科学的知見を理解しようとしない姿勢を感じていると指摘している。
一方、新型コロナウイルスのパンデミックを発端とするサプライチェーンの混乱は、ウクライナ紛争で一段と深刻化しており、輸送コストや原材料費の高騰、金利の上昇、そして、インフレにより、風力発電事業者の利益が圧迫され、内容が悪化しており、このような環境で、漁業分野を含め満足な補償等に対応がなされるのか、はなはだ疑問な状況が伝えられている。
2024年5月11日、米国大統領候補ドナルド・トランプは、返り咲きを果たした場合、洋上風力発電開発をターゲットに大統領令を発布すると宣言したとBloombergが伝えている。
成長する風力発電産業を締め付ける考えをこれまでになく強く示した。
トランプは、ニュージャージー州での選挙集会において、洋上風力発電プロジェクトが、鳥やクジラを死に追いやると批判、行動を起こすことを約束、我々は初日に必ずそれを終わらせる、それを大統領令に書き記すつもりだと述べた。
トランプは風力発電への反感を公言してきたものの大統領在任中は特に行動しなかったが、今回は違い、ホワイトハウスに返り咲いた場合、より積極的な姿勢を取る可能性があることを意味しているとBloombergは指摘している。