ここ十年来のことだろうか、フランスの大学の新年度開始時期が徐々に早められ、最近は九月第一週が仕事始めである。以前は、早くても九月下旬から授業開始だったから、八月末まで夏休みを十分満喫してから、九月前半に徐々に気持ちを仕事モードに切り替えながら、新学期の準備をすればよかった。ところが、現行の大学カレンダーだと、八月に入った途端に、「今月末にはもう夏休みが終わってしまうんだ」と悲しくなり、あれもこれも準備しなければと気がそわそわして落ち着かなくなる。
この夏は、特に、まだ夏休み中の八月二九日という普通ありえない日に博士論文の審査がある(これは指導教授が九月一日付で定年退官するからそれ以前に審査を済ませなくてはならないという、当方にはまったく関係ない理由でそう決まったんである)。
なに贅沢言ってんだとご不快に思われる方も少なくないかとは思うが、大学教員にとって夏休みは自分の研究のためにまとまった時間が取れる一年でたった一回の機会であるし、吹けば飛ぶような薄給しかフランス国家からもらっていないのだから、せめて休みくらいたっぷり取らせろと無能・無策な現フランス政権に文句の一つも言いたい気分なのである。
それはそれとして、先月半ば過ぎに帰国してからずっと日本語モードで思考していたけれど、そろそろフランス語モードに切り替えていかないといけない。
そのための当面の具体的手立ての一つが、一昨日の記事で話題にした博士論文を読みながらそれにコメントを付けていく作業である。
それと平行して、シモンドンの語彙集を読みながら、今年の十二月にブリュッセルで開催される ENOJP の第二回大会の基調講演の原稿の準備をぼちぼち始めようと思う。
さらには、来年八月末から九月にかけて Cerisy-la-Salle で開催される一週間のシンポジウム « La mésologie, un autre paradigme pour l’anthropocène ? » の応募原稿の締切りが九月十日であるから、それも併せて準備する。シンポジウムの主旨に沿いつつ、十二月の講演原稿とうまくリンクさせる形で書きたい。
以上、夏休みの課題リストでした。