内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

スポーツと西田哲学 ― オリンピックをテレビ観戦しながら考える

2016-08-12 23:35:46 | 雑感

 オリンピックでさまざまな個人対戦競技を見ていると、精神面のことはしばらく措くとすれば、技術的には拮抗していてどちらが勝ってもおかしくないような対戦者同士の戦いでしばしば勝敗を分けるのは、戦術の有効性と柔軟性と多様性であることがわかる。対戦相手に対して有効な戦術を多様な選択肢の中から状況に即応して柔軟に選べる選手が勝つ。ダブルスやチームの対戦の場合には、勝敗を分ける要素として、相方との呼吸・間合い、メンバー同士の連携・コミュニケーションさらにそこに加わる。
 どんなスポーツ競技も、単なる身体能力の競争ではないことは言うまでもないが、知性において勝る方が必ず勝つわけでもない。勝敗を分けている決定的要素を西田哲学固有の用語を使って言い表すとすれば、それは行為的直観の広がりと奥行きと密度の違いだと言うことができるのではないかと日本人選手たちを応援しながら考えたりしている。