飛騨市宮川町種蔵は、宮川沿いの町から更に険しい山道を登った奥にある小さな集落で、石積みの棚田の中に板倉が点在し、山村の原風景が未だに残っている。
高冷地の厳しい自然環境の中で、営々と維持されてきた田畑や暮らしが、過疎化と住民の高齢化で崩壊が危惧されている。
昔は種蔵集落に23戸の家があったが、今は13戸しかない寒村であるが、800年以上の歴史がある山村の暮らしと文化を次世代に伝えようと、様々な集落再生計画が進められている。
古民家や板倉を利用した宿泊施設、集落散策路の整備、景観・農地の保全、地域交流イベントなどが少しずつ進められている。
「飛騨種蔵新そばまつり」も村おこしの一環で、今年初めて開催された。
交通が不便な僻地にあるので、荘川新そば祭りほどの賑わいはなかったが、一枚600円のざるそばと、500円の岩魚の炭火焼は美味しかった。
宮川町の万波高原は、農地開発で高原野菜が生産されているが、標高1.000メートルの冷涼な高地で育った万波そばも人気が高まって来たようだ。
種蔵集落が山村文化を通して町の人たちと交流が盛んになり、美しい棚田や集落が維持されることを願いたい。