立つ言葉
座る言葉
寝る言葉
どうしたら
言葉が立つか
を
知っている
---
ずっと前
宮沢賢治が
朝まで
原稿用紙に
凄いスピードで
言葉を書いていた
すると
朝
原稿用紙の言葉が
いっせいに立ち
おじぎをしたという
そんな寓話が
本当に思える時がある
言葉は呼ぶ
言葉を呼ぶ
河合隼雄先生が
文化庁長官をしなかったら
もっと仕事ができただろうに
「熊野に行きたい」
その言葉が残っている
河合先生は熊野を
やりたかったはずだ
---
日本列島の
暖かい場所の文化と
寒い場所の文化の違いについて
あの二人は
南国といってもいい
文化的気候を
背景にしていて
シリアスも
どこか
楽観というビジョンを持っていた
---
いけない言葉を
梅干しとともに
草むらに返す
吐いて
捨てる
梅干しの
種とともに
すると
草むらから
聞こえる
秋の虫たち
いつだったか
聞き分けたことがあった
録音物をきいて
これが
スズムシ
これが
コオロギ
これが
けれど
どれも
忘れてしまった
ただ
秋の虫の
響きの中に
憩いがあり
苦しい夏の
終焉があり
ほどなく
見えるだろう
高い空
青い
空
蝉はすでに鳴かず
かろうじて
わずかに
ツクツクボウシが
わずか
に
鳴いて
い
た
草むらを見
多種の
秋の虫
の
ひび
ひびき
き
に
憩い
が
胸に
脳
に
ひびき
しみいる
いる
空の下
こなだいから
聞こえる
太古
太鼓の
音
通り過ぎ
戻り
寄り
太鼓
太鼓
の響
き
は
太古の時から
体が知って
い
る
る
ひび
ひびき
そら
青く
白
雲
朝顔の
の
むら さき
むら さ、き
のうえ
空の青
空
の
今
孤独の時を越え
寝入って
孤独の
扉
あけ
おぼえて
いる
ここは
いつもの
さみしさだ
さみしさは
おぼえている
生まれて
ずっと
帰る場所
それは
ここ
この
場所
スズムシたちが
鳴いてい る 古代 の の の、、、、、、、
太鼓
の、 の 音
さみしさは
知っている
いつ も
知っている
戻る場所
言葉がない
場所
朝顔
の 、うすむらさき、みっつ。咲いて
空に向かって
青い
空
秋の虫たちの
叫び
残暑とはほど
とおい
暑さ
生命は
朽ちてゆく
次第に
高温の中
中
で
朽ちて
ゆく
大雨が降って
また大海ができ
「海には何でもあって何もない」
と
堀田明日香さん
言った
まだ彼女が
若い時
その言葉の
凄さ
ふっと
思い出し
天才の
言葉は
つねに
刺す
真実の場所に
光となって
輝く
鈍く
言葉少なに
究極の詩を
吹き上げる
その凄さに
五年遅れて
ついてゆく
秋の
虫
ひびき ひびき 草むら の、の、なか、で。で。で。
堀田さんの
海は
草むらにも
空にも
朝顔の
うすむらさきにも
波がうねり
波が静まり
大海の中
の混沌
を
彼女は
我が身で
知って
いたのだ
青い
空
暑い気温
夏の宴
この場所
知ってる
さみしさに
帰ってゆく
わたしたち
誰に判るわけではなき
草の中で
叫ぶ
秋の
虫たち
海まで
海まで
もうすぐですから
「海には何でもあって何もない」
そのとおり
太古の
太鼓
の
音
聞こえ
寄り
遠ざかる
道に沿って
歩いて
ゆく
秋の前ぶれ
空の高さへの
あこがれ
たそがれ
堀田さん
堀田さん
あなたは
言葉を紡ぐ
本物の詩人なんですよ
と
呼びかけても
堀田さんは
あそこに向かって
いる
草むらの
秋の虫たち
いっせいに
鳴き
鳴いて
いる
座る言葉
寝る言葉
どうしたら
言葉が立つか
を
知っている
---
ずっと前
宮沢賢治が
朝まで
原稿用紙に
凄いスピードで
言葉を書いていた
すると
朝
原稿用紙の言葉が
いっせいに立ち
おじぎをしたという
そんな寓話が
本当に思える時がある
言葉は呼ぶ
言葉を呼ぶ
河合隼雄先生が
文化庁長官をしなかったら
もっと仕事ができただろうに
「熊野に行きたい」
その言葉が残っている
河合先生は熊野を
やりたかったはずだ
---
日本列島の
暖かい場所の文化と
寒い場所の文化の違いについて
あの二人は
南国といってもいい
文化的気候を
背景にしていて
シリアスも
どこか
楽観というビジョンを持っていた
---
いけない言葉を
梅干しとともに
草むらに返す
吐いて
捨てる
梅干しの
種とともに
すると
草むらから
聞こえる
秋の虫たち
いつだったか
聞き分けたことがあった
録音物をきいて
これが
スズムシ
これが
コオロギ
これが
けれど
どれも
忘れてしまった
ただ
秋の虫の
響きの中に
憩いがあり
苦しい夏の
終焉があり
ほどなく
見えるだろう
高い空
青い
空
蝉はすでに鳴かず
かろうじて
わずかに
ツクツクボウシが
わずか
に
鳴いて
い
た
草むらを見
多種の
秋の虫
の
ひび
ひびき
き
に
憩い
が
胸に
脳
に
ひびき
しみいる
いる
空の下
こなだいから
聞こえる
太古
太鼓の
音
通り過ぎ
戻り
寄り
太鼓
太鼓
の響
き
は
太古の時から
体が知って
い
る
る
ひび
ひびき
そら
青く
白
雲
朝顔の
の
むら さき
むら さ、き
のうえ
空の青
空
の
今
孤独の時を越え
寝入って
孤独の
扉
あけ
おぼえて
いる
ここは
いつもの
さみしさだ
さみしさは
おぼえている
生まれて
ずっと
帰る場所
それは
ここ
この
場所
スズムシたちが
鳴いてい る 古代 の の の、、、、、、、
太鼓
の、 の 音
さみしさは
知っている
いつ も
知っている
戻る場所
言葉がない
場所
朝顔
の 、うすむらさき、みっつ。咲いて
空に向かって
青い
空
秋の虫たちの
叫び
残暑とはほど
とおい
暑さ
生命は
朽ちてゆく
次第に
高温の中
中
で
朽ちて
ゆく
大雨が降って
また大海ができ
「海には何でもあって何もない」
と
堀田明日香さん
言った
まだ彼女が
若い時
その言葉の
凄さ
ふっと
思い出し
天才の
言葉は
つねに
刺す
真実の場所に
光となって
輝く
鈍く
言葉少なに
究極の詩を
吹き上げる
その凄さに
五年遅れて
ついてゆく
秋の
虫
ひびき ひびき 草むら の、の、なか、で。で。で。
堀田さんの
海は
草むらにも
空にも
朝顔の
うすむらさきにも
波がうねり
波が静まり
大海の中
の混沌
を
彼女は
我が身で
知って
いたのだ
青い
空
暑い気温
夏の宴
この場所
知ってる
さみしさに
帰ってゆく
わたしたち
誰に判るわけではなき
草の中で
叫ぶ
秋の
虫たち
海まで
海まで
もうすぐですから
「海には何でもあって何もない」
そのとおり
太古の
太鼓
の
音
聞こえ
寄り
遠ざかる
道に沿って
歩いて
ゆく
秋の前ぶれ
空の高さへの
あこがれ
たそがれ
堀田さん
堀田さん
あなたは
言葉を紡ぐ
本物の詩人なんですよ
と
呼びかけても
堀田さんは
あそこに向かって
いる
草むらの
秋の虫たち
いっせいに
鳴き
鳴いて
いる