雨
読書
こないだ買ってきた
青シソの苗
発砲スチロールの
大きな箱に
植えた
ところが
葉が食われる
すでになきに等し
何故か
発砲スチロールの箱に棲み
やりたい放題の
ダンゴムシたちが
食うたのだ
越冬させたのは私
たくさんいるだろう
土の中
ダンゴムシたちを増やしたのも私
餌になる落葉や枯枝を置いているのも私
水分がなくならないように
注意して水を入れるのも私
ダンゴムシたちは水分が足りないと
あかん弱者たちだ
それに
寒いとあかん弱者たち
二階の部屋で
越冬させたのはこの俺だ
いやこの私だ
あったかくなったので
一階のベランダに移したのも
私だ
で
青シソの苗を植えたのも私
食うたのはダンゴムシ
先に棲んでいるのはダンゴムシ
やつらに文句言えぬのは私
だがしかし
枯葉を食えばいい
枯れ枝を食えばいい
苗を私は買ってきたのだ
300円も払って
カーマで
それをやつらは
きっと夜な夜な
うまいうまい
とやわらかいシソの葉を
食うのだ
夢だった
大きな発砲スチロールの土に
青シソが生い茂って
手でちぎって
食べるのが
弁当に入れるのが
私のささやかな夢だった
ついでに
赤シソの種も撒いた
もちろん出ない
何故か
やつらが
種から出た芽を
食うているからだ
だがしかし
先に棲んでいるはやつらだ
あきらめた
青シソも
赤シソも
違う鉢に
ミニトマトを植えた
そっちは大丈夫
ミニトマトは
近くの植物さえ
繁殖させない
ダンゴムシも近づけないことも知っている
だからとて
発砲スチロールの箱に
ミニトマトの苗を植えて
何になろう
それは平和に暮らしている住民たちの生命さえ
脅かすかもしれない
トマト毒を巻き散らすかもしれない
まあダンゴムシにとっては
原発みたいなもんだ
それに
先住民の土地から
先住民を追い出す
または殺戮することを
ヨシとした教育は受けていない
いいんだよ
これで
八百屋で買うよ
立派なシソの葉を
輪ゴムでしばったやつを
私は食えばいい
だがしかし
夢を食われた
ささやかな
ベランダ栽狽フ
シソをちぎって
弁当に入れる
そんな夢
無残に食われた
シソの苗
根もきっと
食われておる
うめえうめえな
って
やつら
言う
くそたわけ