韓国朴大統領は5月4日、旅客船セウォル号が沈没した現場に近い南西部、珍島の彭木港を訪れ、行方不明者の家族に「事故の発生から対処に至るまで、限りなく大きな責任を(負っていると)感じている」と述べた。
朴氏は遺体収容施設と海上の捜索現場も訪れた。
家族からは、朴氏に同行していた李柱栄海洋水産相の処遇をめぐり「どうするのか」などと怒号も飛んだ。
朴氏は「責任者や罪を犯した者を明らかにし厳罰にする」と答えた。
朴大統領は4月29日にも大統領府で招集した国務会議(閣議に相当)で、旅客船「セウォル号」沈没事故について国民に謝罪したが、これが今大きな問題となっている。
朴大統領は「事故を事前に防ぐことができず、初動の対応や事後処理に不十分な点があった。(中略)申し訳ない」と述べた。
これに対して遺族対策委員会は「何人かの国務委員(閣僚)の前で行う非公開の謝罪など謝罪ではない」「謝罪として受け入れることはできない」と述べ、野党は「(謝罪には)真実味がない」と批判した。
またSNSでも、大統領が謝罪を行った時期と方法を問題視する指摘が相次いでいる。
結果的に大統領の謝罪は、遺族や行方不明者家族と国民を慰め、つらい思いを和らげるどころが、新たな政治的・社会的な火種となってしまったようだ。
問題は大統領の謝罪だけではない。
大統領府は事故への対応でリーダーシップを発揮することができず、他の政府部処(省庁)と同じく右往左往し、下の人間に責任を押し付けるばかりのような印象を与えてしまった。
遺族が「大統領の謝罪を認めない」という趣旨のコメントを発表したことについて、大統領府報道官は「残念で遺憾だ」と発言した。
大統領が事故現場や合同焼香所を訪れた際、行方不明者家族や遺族が大統領に直接自分たちの思いを伝えようとしたのは、大統領府の参謀たちがそれだけ普段から国民の思いを受け止めておらず、国民とのやりとりを行う窓口の役割をしっかりと果たせていないことを示している。
このような参謀たちに支えられている大統領が、国民の今の思いを正確にくみ取っているか疑問に感じざるを得ない。
また大統領の謝罪問題に火がついたことも「大統領府の無能さが原因」といわれても仕方がない。
朴氏は、どう責任をとるのだろうか。
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