米中両国は貿易を巡る報復合戦に突入した。
知的財産権侵害を理由とする米国の制裁措置に対し、中国は報復を宣言。
互いに一歩も引かない構えだ。
ぎりぎりまで圧力を強めながら水面下で相手に譲歩を迫る。
米国には中国のハイテク化を阻止したい思惑も。
二つの経済大国の通商摩擦は神経戦の局面に移行した。
「中国に対する巨額の貿易赤字に耐えられない」。
トランプ米大統領は4月3日、ホワイトハウスでの会合で、中国の習国家主席を「非常に尊敬している」と持ち上げながらも、中国が米企業の知財権を盗んでいることに触れ、赤字削減に強い意欲を見せた。
それから数時間後、米通商代表部(USTR)が公表した制裁案は、知財権侵害を理由に約1300品目の中国製品に25%の追加関税を課す内容だった。
対象は航空機やロボットなど。
中国が育成を目指す先端産業に、くさびを打ち込む狙いがあるのは明らかだ。
しかし米国商業会議所は「消費者が毎日使う製品に関税を課すのは適切ではない」との反対声明を発表。
家庭用食器洗い機なども候補に入ったことに懸念を示した。
関税対象は最大500億/(約5兆3千億円)に達する。
制裁は中国に打撃を与えるばかりか、米国民の痛みを伴う「もろ刃の剣」になる恐れがある。
中国は即座に対抗策を打ち出し、米国の追加関税と同規模の報復措置を発表した。
商務省は4月4日、米国の制裁案を「典型的な一国主義かっ保護主義的なやり方だ」と厳しく非難。
「世界貿易機関(WTO)の基本原則と精神に反している」として、WTOに提訴した。
習指導部が強気の姿勢を崩さないのは、「米国への徹底抗戦」で官民が一丸となっているためだ。
経済団体の中国国際商会は4月4日「政府が、あらゆる必要な手段を用いて米国に反撃することを、断固として支持する」との声明を発表した。
米国が3月23日に始めた鉄鋼輸入制限に対し、標的とされた中国は4月2日、米国の128品目への関税上乗せで対抗。
米国は知財権侵害を巡り中国をWTOに提訴したほか、中国企業による米国への投資制限の強化も検討中だ。
中国の王商務次官は4月4日、中国が知財権を盗んでいるとの米国の主張はフェイク(偽)ニュースだ!」とトランプ氏の口ぐせで反論。
米国こそが「国際ルール違反だ」として妥協せず争う構えを示した。
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