シリアのアサド政権軍は10月14日、トルコが軍事侵攻した北部の国境近くに展開し、米軍が撤収した要衝マンビジュに入った。
米軍の後ろ盾を失ったクルド人勢力がトルコヘの対抗策として、対立してきた政権軍との共闘に転じた。
トランプ米大統領はシリア北部に駐留する米兵約千人の撤収を指示する一方、対トルコ制裁を発動した。
トルコの侵攻から10月16日で1週間。
クルド人を敵視するトルコは強硬姿勢を崩さず、戦闘による人道危機が拡大している。
国連によると、少なくとも16万人が避難民となった。
シリア人権監視団(英国)によると、シリア側では70人近くが死亡した。
過激派組織「イスラム国」(IS)掃討で米軍に協力してきたクルド人勢力は、米軍の撤収を「裏切り」と非難。
自治権を巡り緊張関係にあったアサド政権と、後ろ盾のロシアに接近しており、シリア情勢が大きく揺らいだ。
政権軍とトルコ側の衝突も懸念される。
ペンス米副大統領によると、トランプ氏は10月14日、トルコのエルドアン大統領と電話会談し、即時停戦とクルド人勢力との対話開始を求めた。
ペンス氏は近くトルコを訪問し、こうした考えを改めて伝えるという。
トランプ氏は対トルコ制裁について、鉄鋼の関税を50%まで引き上げ、両国間の貿易協定の交渉を直ちに停止するとの声明を出した。
人権侵害や避難民の帰還妨害の場合は、金融制裁や資産凍結、米入国禁止の措置を取るとした。
また、シリア北部から米軍を撤収する考えを重ねて示し、ISを注視するため周辺地域に移動させると説明。
シリア南部には小規模な部隊を残すという。
エスパー米国防長官は10月14日の声明で「エルドアン氏は一方的なシリア北部への侵攻を命じ、多くの死傷者、避難民、破壊、危険を生み出した」と指摘し、混乱によって多くのIS戦闘員の逃走も許したと非難した。
今後、クルド人勢力はシリア、ロシアにつくだろう。
米国がクルド人勢力を見捨てたツケは極めて大きい。
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