相続しても使い道がない土地を国が引き取る制度を利用し、制度が始まった昨年4月から今年7月末までに国有化された件数が667にとどまっていることが8月16日、法務省の集計で分かった。
地方圏の人口流出が続く中、相続した土地の管理が所有者の重荷となるケースが多いとみられる。
審査中の件数も一定程度あるが、制度の存在を知らない人も多く、周知が課題となる。
この制度は「相続土地国庫帰属制度」。
法務局の審査で承認されると、所有者が10年分の管理費用として原則20万円の負担金を納め、相続した土地を国に引き渡すことができる。
背景には相続登記しないまま土地が放置され、自治体が公共事業をする際に用地買収の交渉ができないなどの支障が出る「所有者不明土地問題」がある。
制度を所管する法務省によると、今年7月末時点で2481件の申請があった。
国有化された667件の内訳は、宅地が272件、農用地が203件、森林が20件、その他が172件だった。
土地に建物が残っていたり、抵当権や賃借権が設定されていたりすると申請しても却下される。
却下されたり、審査で不承認となったりしたのは計41件で、申請後に取り下げた事例も333件あった。
審査にはおおよそ8ヵ月程度かかるため、審査が続いているものもあるとみられる。
定期的に伐採が必要な樹木が土地にあると対象外になるなど制度の使い勝手の悪さを指摘する声もある。
法務省の担当者は「施行から5年後に制度を見直す規定があり、運用状況を見ながら検討する」と説明している。
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