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他人のiPS網膜移植 世界初 理研

2017年03月30日 | 医療

理化学研究所などのチームは3月28日、目の病気の患者に、他人の人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った網膜の細胞を移植する手術を実施したと発表した。

他人のiPS細胞を使った移植は世界初。

患者本人のものを使うより準備期間が短く、費用も安くなる利点がある。

iPS細胞を使った日本発の再生医療の普及に向けた大きな一歩となる。

理研の高橋プロジェクトリーダーらが、神戸市立医療センター中央市民病院で臨床研究として実施した。

高橋氏は「標準的な治療にするための重要なステップになる」と強調した。

チームは、網膜に障害が起き失明することもある「溶出型加齢黄斑変性」の兵庫県在住の60代男性に対し、iPS細胞から作った約25万個の網膜細胞を含む溶液を注射針で右目に注入。

細胞が網膜に定着するのを待つ手法で移植した。

手術は約1時間で終わり、手術自体に特に問題はなかつたという。

まずは安全性を確かめるのが狙いで、移植した細胞が腫瘍にならないかなどを検証、視力を維持できるかも調べる。

他人の細胞移植では拒絶反応が心配されるが、チームは京都大で備蓄している移植しても拒絶反応が少ない特殊な免疫の型のiPS細胞を使用、有効性を確かめる。

高橋氏は移植の成否などの結果の公表は、症例を見極めるため2、3年後になるとの見通しを示した。

高橋氏らは2014年、患者本人のiPS細胞から作った網膜細胞の移植を実施した。

患者は視力の低下が止まり約2年たってもがんなどの異常はないが、移植までに11ヵ月、約1億円の費用がかかり、普及のためには期間短縮とコスト削減が求められていた。

今回の手術は、臨床研究のための患者を2月初めに募集してから約2ヵ月後に実現した。

今後、今回の患者も含め5人を目標に移植する。

他人のiPS移植を巡っては、オーストラリアのベンチャー企業が英国の病院で治験を進めているが、患者に投与したとはまだ発表していない。


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